全国の高校生が自作した鉄道ジオラマを競う「第8回全国高校鉄道模型コンテスト2016」が8月6日・7日に東京ビッグサイトで開催された。155校が参加した「モジュールレイアウト部門」の最優秀賞(文部科学大臣賞)には広島城北中学高校(広島)の鉄道研究部が輝いた。(文・写真 中田宗孝)

大会は、模型の規格によって「モジュールレイアウト」「一畳レイアウト」「HOゲージ車両」の3部門がある。最多の参加があった「モジュールレイアウト部門」はNゲージサイズ(実際の電車の1/150の大きさ)の鉄道が走行するジオラマを制作する。4度目の参加で初の最優秀賞を受けた広島城北中学高校の作品は「原爆ドームと灯籠(とうろう)の流れる元安川」。8月6日の「原爆の日」に地元広島市で行われる灯籠流しを表現したメッセージ性の強い作品だ。

モジュール部門最優秀賞を受賞した広島城北高校の作品「原爆ドームと灯籠の流れる元安川」

「原爆ドーム」針の一本までこだわり

部員たちは、大会開催日にあわせて、灯籠流しを組み込んだジオラマにしようと考えた。「広島県の高校だからこそ、この作品を作る意義があるのではと思いました。他県民のみなさんにも『原爆の日』、そして平和への願いをあらためて感じてもらえたら」(部長の吉田亘貴君・高校2年)

中学生を含む部員8人が6カ月かけて制作した。既成品の模型をなるべく使わず、細かな装飾品まで部員の手作りを心掛けた。特に力を入れたのは、粘土で製作した原爆ドーム。ドームの部分は針金を一本、一本ハンダ付けし、半壊した実際の原爆ドームの雰囲気に近づけるように細部までこだわった。灯籠流しが行われる夜の時間にあわせて、原爆ドームや灯籠がライトアップする仕掛けは、審査員や観客から高く評価された。「お客さんから見えにくい場所も手を抜かず、丁寧に仕上げたことが好評価につながったと思います」(吉田君)

世界にメッセージ発信したい

広島城北中学高校は、11月に米国で開催される鉄道模型の国際大会に招待され、受賞作も日本代表として展示される。吉田君は「ジオラマを通じて、世界に平和へのメッセージを伝えていきたい」と意気込んでいる。

【第8回全国高校鉄道模型コンテスト2016・上位入賞校】

【モジュールレイアウト部門】
▽最優秀賞(文部科学大臣賞) 広島城北中学高校(広島)
▽優秀賞 灘中学高校(兵庫)、共立女子高校(東京)
▽加藤祐治賞 慶應義塾高校(神奈川)

【一畳レイアウト部門】
▽最優秀賞 白梅学園清修中高一貫部(東京)
▽加藤祐治賞 東京電機大学高校(東京)
▽優秀賞 日本工業大学駒場中学高校(東京)

【HOゲージ車両部門】
▽最優秀賞 芝浦工業大学中学高校(東京)
▽加藤祐治賞 灘中学高校
▽優秀賞 大阪府立今宮工科高校