全国大会の団体戦において、ベスト8で涙をのむことが多かった国学院大栃木(栃木)男子柔道部。しかし、今夏の全国高校総体(インターハイ)で、ついにその壁を乗り越え、初の4強入りを果たした。

6月のインターハイ県予選の2週間前に、キャプテンの中沢崇史(3年)=栃木・国学院大栃木中出身=が足首を骨折し、戦線を離脱した。中沢が「とんでもないことをしてしまった」と、チームを離れることに責任を感じていた一方で、チーム内では他の3年生を中心に「中沢をインターハイに連れて行こう」と話し合いが持たれた。「キャプテンのけがが、チームを一つにした」と田村優樹(3年)=同中出身=は語った。県予選決勝は代表戦にもつれ込む接戦となったが、「キャプテンを絶対インターハイに」という全部員の決死の思いと覚悟が、勝利をもたらした。

迎えたインターハイの団体戦準々決勝。畳の上には復帰した中沢、キャプテン不在の間を支えたメンバー、そしてエースの横山尭世(3年)=同中出身=というベストメンバーがそろった。試合は代表選にもつれ込む接戦。制したのは横山だ。その瞬間、ベスト8の壁は破られた。(文・写真 小野哲史)

躍進を支えたエース横山

春の全国高校選手権で無差別級を制した横山は、のし掛かる重圧に本来の柔道を見失いかけていた。救ったのは、「気負わず、自分の柔道をしなさい」という葭葉国士監督の一言だった。吹っ切れた横山は「ワクワクした気持ち」でインターハイに臨み、100㌔超級で優勝。個人戦での「春夏連覇」を果たした。

チームデータ
1960年創部。部員数33人。2006~10 年まで全国高校選手権団体ベスト8、08 年インターハイ団体ベスト8。文武両道の校風で、学業の成績も優秀な部員が多い。女子柔道部も全国レベルを誇る。