大羽健太郎さん

 受賞理由 
 すべての人たちが平等であるようにと訴えた、全国大会優良賞の弁論と物まねと歌を合わせた「出張弁論」を、小中学校や福祉施設・各種団体会合などに出向いて50回以上続け、ボランティア・スピリット賞の文部科学大臣賞を受賞。ボランティア親善大使として全米表彰式に招待された。生徒会長と野球部副主将とボランティア活動と、多方面において活躍し輝いた。

物まねまじえて笑顔呼ぶ

小中学校や福祉施設などで独自の「出張弁論」に取り組んだ。病気や障がいのある人への差別や偏見をなくそうと、「『キモい』『かわいそう』ではなく、『何か手伝いましょうか』と声を掛けて」と訴える。

原点は、精神の病を患う母親の存在だ。中学生のころから世の中の差別が気になり始め、母に「自分のことを伝えてほしい」とも言われていたが、偏見を恐れて隠していた。高校入学後、校内弁論大会で「母の思いを代弁する気持ちで書いてみよう」と思い立つ。「人間は皆平等」と訴えた弁論は校内で優勝し、県大会では2位となり、全国高校総合文化祭に出場。優良賞を受賞した。親身に指導してくれた登米光枝先生から「度胸試しに」と勧められ、1年次の1月に消防署の出初め式で出張弁論を初めて実施。聴衆はうなずきながら聞いてくれた。以来、月数回、各所に出向く。出張弁論では「みんなを笑顔にしたい」と、物まねや歌も披露する。レパートリーは、武田鉄矢や井上陽水から、子ども向けのトトロやジャイアンなど幅広い。

昨年5月、ボランティア・スピリット賞の全米表彰式に「日本代表」として参加。米国の高校生の行動力を目の当たりにして、「ボランティアをもっと頑張ろう」と決意。進路変更し、大学進学を決めた。「ボランティア精神は世界共通。若者の優しい心が世界を平和にする」と信じている。

(西健太郎)

 学校の特色 
 山陰唯一の自動車科と普通科を設置、生徒数370名。「報恩感謝・自主自律・友愛共同・勤勉力行」を校訓とし、文武両道で生徒一人一人の個性尊重を目指す教育をする。心と物を大切にし気品ある生徒づくりに一貫した教育理念をもつ。