左から文化委員長の丸尾恭平君、会誌担当副会長の塩塚啓倫君、会長の髙島崚輔君、会計担当副会長の吉岡祐斗君、体育委員長の篠田樹君(いずれも3年、役職は6月時点)

昨年7月に生徒会長に就任した髙島崚輔君(3年)が、今年6月までの任期のスローガンに掲げたのは「つなぐ」だった。「生徒会には、人を育てる役目もある。(灘中学から)4年間、生徒会をやってきた経験を伝えるのがテーマでした」
 
 就任後、生徒が考えたプロジェクトを生徒会がバックアップする新たな取り組みを始めた。
 
 「なだプロ」と名付け、全校にプロジェクトの提案を呼び掛けると、さまざまなアイデアが寄せられた。「小学校で授業をしたい」という企画は、髙島君の出身小学校長に認めてもらい、「ラジオ番組を作りたい」という希望は、コミュニティーFMで校名を伏せて実現させた。ワンダーフォーゲル部員が提案した「ロゲイニング(チームで山野を回る競技)」の大会は、生徒の企画を地元の運動公園が引き継ぐ形で実現した。
 
 いずれも、企画や運営は提案した生徒に任せ、生徒会は学校外での交渉のサポートや、運営のアドバイスを担当した。「普段、生徒会活動に関わらない人に生徒会を活用してほしかった」(髙島君)
 
 文化祭、学芸会、体育祭、毎学期末のスポーツ大会など生徒会が関わる行事は数多く、生徒有志が委員として運営に携わる。5月にあった文化祭の委員は197人。委員長の丸尾恭平君(3年)は「次世代につなぐために、一人でも多くの生徒に関わってほしかった」と話す。
 
 「灘は自由な学校といわれるが、自由は自律と自発があってこそ」と髙島君。丸尾君は「先生との信頼関係があるのが大きいです」と付け加えた。(文・西健太郎、写真・佐野仁美)