武蔵越生高校の和太鼓部「青龍」は、全国高校総合文化祭に昨夏を含め4回出場している実力派。5月3日、川越市で開かれた川越太鼓まつりで、青空の下、太鼓の音を響かせた。 (文・写真 野口涼)
2人の生徒が横笛を吹き始めると会場がしんと静まる。やがて「はっ!」という掛け声を合図に大小の太鼓の響きが重なり始め、迫力のクライマックスへ。一糸乱れぬバチさばき。息をのむステージだ。
若々しいアレンジとパフォーマンスも「青龍」の持ち味だ。別の曲には鐘が入り、演奏の合間に棒回しも見せた。観客からは「良かったよ」「ありがとう!」という声とともに、大きな拍手が贈られた。
華やかなステージを支えるのは、厳しい練習で身に付けた確かな演奏技術だ。練習は毎日3時間。「文化部というより運動部と言われる」(青木友美さん・3年)ほど体力を使う太鼓の演奏には、ランニングや筋トレも欠かせない。
普段の練習では近隣に配慮し、太鼓に毛布を掛けて音を小さくする。「思い切り音を出せる本番はテンションが上がります」(諏訪部陽花さん・2年)
部員は48人。このうち1年生は20人。入部から3カ月は太鼓をたたかず、ひたすら古タイヤで「基礎打ち」をする。こうすることで、どんな姿勢でも「体の芯」を安定させて打てるようになるという。部長の小森拓朗君(3年)は「必死で練習してできるようになったことを、ステージで披露するのは本当に楽しい」と話す。
地域のイベントや福祉施設などで、年間約30回ものステージに立つ。7月の川越百万灯祭りは、3年生の引退ステージとなる。赤石真輝君(3年)は「最高の演奏をしたい」と意気込んでいる。