インターハイ初優勝を飾った伊那西(8月8日、大阪市中央体育館=清水綾子撮影

大阪市中央体育館で8月8日に行われた、全国高校総体(インターハイ)新体操の女子団体は、各チームのミスの多さが目立った。そんな中、試技順14番で登場した昭和学院(千葉)が目の覚めるような素晴らしい演技を見せ、15.266という、優勝もあり得る高得点を出した。伊那西高の出番は、その直後だった。

■難曲、演じ切る

3月の全国高校選抜で初優勝した伊那西は、その時の優勝メンバーのままで全国高校総体を迎え、春夏連覇の可能性は十分にあった。落とし穴があるとすれば、優勝の可能性がプレッシャーにならないかだけ。前のチームの高得点を橋爪みすず監督はしっかり確認したうえで、団体メンバーを笑顔でフロアに送り出した。

伊那西の使用曲はラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番第3楽章」。高校生が演じるにはかなりの難曲だが、昨年は同曲の第1楽章を使用しており、今年は「歓びに満ちた完結」をイメージしてこの曲を演じたかったという。本番での演技はその言葉通りだった。終始、この場で演技できる喜びにあふれた演技で、フェッテやパンシェターンなど高難度の技、複雑な交換や連係もすべて見事に決め、15.416。

■「先生への感謝」表現

「私たちが目指していたのは、今まで愛情を注いで厳しく指導してきてくださった先生への感謝の思いを伝えられる演技をすることだったので、その目標が達成できたことがうれしい」とキャプテンの河野夏苗(3年)は言った。その言葉の通り、技術だけでなく感情表現がほかを圧する演技で、伊那西は総体初優勝と春夏連覇を達成した。(椎名桂子)