もっとダンスがうまくなりたい――。活躍や練習の機会に恵まれない高校生ストリートダンサーをサポートしようと、高校生によるダンス団体「Hi-DAN」が誕生した。第一弾の企画として2月17日、東京都内でフリースタイルのダンスバトルを開催。59人が華麗な技を披露した。(文・岡達也、写真・幡原裕治)

バック宙を決めるや否や、片手でバランスを取り、アクロバチックな技に果敢に挑む。出演者は皆、高校生ダンサー。部活やレッスンで身につけた技の応酬に、会場に集まった約100人の視線はくぎ付けになった。

高校生限定のダンスバトル「Hi-BATTLE」を企画したのはHi-DAN 代表を務める原子湧君(東京・国際基督教大学高校2年)だ。原子君は高校から本格的にダンスを始めた。「音楽がかかると自然に体が動くのが楽しかった」。プロダンサーを目指していたが、幼いころからレッスンを重ねてきた同世代との実力の差を痛感し、夢を諦めた。

高校でダンス部の活動を続けるうちに、不満に思うことがあった。高校生だけを対象としたストリートダンスの大会が少なく、高校生ダンサーの大会出場や交流の機会が限られていた。プロを目指す高校生でも、レベルの高い大人の大会には出場しにくいことも知った。

そこで「高校生ダンサーが気軽に参加できるイベントをしよう」と思いつき、団体を旗揚げした。学校内外で知り合ったダンサーに出場を募るなど精力的に準備。当日の観客誘導やMC などを他のメンバーが、審査はコンテストなどで活躍する高校生ダンサーが務めた。

優勝は加藤拓樹君(VAW 栄光ハイスクール2年)。プロを目指すが、高校生になってから大会に出場できずにいた。「高校生だけの大会だったので出やすかった」と話す。観戦していた原雄希君(東京・明治学院高校2年)は、審査員の模範演技を見て「あんなふうにかっこいいポーズを取れるようになりたい」と目を輝かせた。

今後のHi-DAN の活動の柱は3つ。①大会運営②指導者のいない高校ダンス部へ高校生ダンサーをコーチとして派遣する③プロダンサーや演出家と、高校生ダンサーの交流の場をつくることだ。

「夢はストリートダンスの聖地『クラブチッタ』(川崎市)で大会を開くことです」(原子君)。高い目標に向かうHi-DAN から目が離せない。