平成にはやった「デコ」文化が、今、高校生の間で勢いを増している。ただ「かわいい」だけじゃないデコの魅力を、高校生に聞いた。(椎木里咲)
デコ文化が再び流行
女子高校生の間で、日用品などを好みに応じて飾りつける「デコ」がはやっている。キラキラのラインストーンやモール、リボン、シールやステッカー、ポスカなどカラーペンを使い、華やかな見た目にカスタマイズするのだ。
高校生新聞が女子高校生108人を対象に行ったアンケートでは、「自分または周りがデコをしている」と答えた人が95人いた。
体育祭や文化祭で映える
デコグッズを使う場面として挙げられるのが、体育祭や文化祭などの行事だ。体育祭では、名前や自分の好きなキャラクターを描く「デコTシャツ」や「デコタオル」が、女子高校生の中で定番グッズになりつつある。撮影の小道具として「デコメガホン」や「デコサングラス」、「デコ銃」なども作っているという声も多かった。
勉強道具や推しグッズもデコる
他にも、単語帳や教科書など勉強道具をデコる人もいた。表紙にシールを貼るなどしてカスタマイズするようだ。好きなアイドルやキャラクターを応援する「推し活」が当たり前になっている状況も後押し。推しのカードをケースに入れて持ち歩く「トレカケース」や、コンサートなどでアピールするための「うちわ」デコもしている人が多く見られた。
「周りがやっているのがかわいくて映えていたから、自分もうちわにラインストーンを貼ったデコをした」(高3女子)など、推しをかわいく持ち歩くのが定番になりつつある。
【1】自分好みにカスタマイズして愛着がわく
ユキさん(仮名・2年)は、デコにハマっている女子高校生の一人。「かわいいものが好き。最近はやりの『平成女児』や『平成ギャル』みたいな雰囲気にしています」。ハンディファンのふちにラインストーンを貼っている。「ハンディファンはみんな同じようなデザインのものを使っているから、デコると自分のものだって一目見てわかるし、愛着も湧きます」
手帳の表紙にはラインストーンやキャラクターのシールをちりばめた。手帳は日記も兼ねていて、デコることで継続できているという。「前に買った日記帳はシンプルなデザインで、飽き性な性格もあり三日坊主で終わってしまいました。自分でデコったものだと、『使いたい!』という気持ちが大きくなり、もう2カ月くらい週5で書き続けられています」
【2】行事を盛り上げ個性もアピールできる
ヒカリさん(仮名・3年)は、体育祭で「デコ」を楽しんだ。「学校からチームカラーのTシャツが配られるので、自分の名前やみんなからの寄せ書きを書きました。友達と100均でタオルを買って、ポスカで名前やインスタのID、好きなキャラクターのスヌーピーを描いて『デコタオル』も作りました。当日写真を撮れて楽しかったです」
行事ではスマホで写真を撮る行為が特に大切だ。クラスTシャツやタオルなどのアイテムは、思い出を鮮やかに飾ってくれる。インスタのIDは自身のアイデンティティーを示す意味合いで書いているほか、推しの名前をもじったIDの人には「推しをアピールする推し活の一部」にもなるのだという。
体育祭が終わってもデコしたアイテムは手元に残るので、今でも見返している。「寄せ書きは仲のよい友達以外にも、普段あまり関わらないクラスメートや先生、後輩にも書いてもらいました。デコったものがかわいくなるだけでなく、デコる時間も思い出になります」
【3】「あの時憧れたお姉さん」に近づける
受験勉強に励むリオさん(仮名、3年)は、友達と教科書の表紙をデコし合っている。「ギャル文字で『受験終わったらおいしいもの食べに行こう!』『うちらならできる』と励ましのメッセージを書き合ったり、キティちゃんやエンジェルブルーのナカムラくんといった、平成にはやったキャラクターのイラストを描いたりしています」
リオさんは平成19年生まれ。「小さいころに、年上のいとこがキティちゃんやナカムラくんのグッズを持っていました。私にとっては『年上のお姉さんが持っていた憧れのグッズ』なんです」
学校ではやっているドラマは2007年に放送された「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」だという。「Netflixで見られるので、友達と『中津派か佐野派か』で盛り上がっています」。デコは平成を象徴する文化の一つ。高校生にとってデコを含めた平成文化は、憧れでもあり、身近に感じられる存在になっている。
デコが高校生活を彩っている
ただ「かわいい」という理由だけでデコしているのではない。個性を表したり、友情を深めたり、思い出作りを盛り上げてくれたり、小さいころの憧れを体験できたり。高校生にとってデコは日常を前向きに楽しむための仕掛けで、高校生活を彩る手段の一つになのだ。


















