全国高校総合文化祭や国際高校生選抜書展(書の甲子園)などの全国規模の大会で入選者を出し続ける千葉・袖ヶ浦高校書道部。部員たちは「強豪」ならではのプレッシャーを、圧倒的な練習量ではねのけてきた。
部訓は「練習は裏切らない」
中学では運動部だった生徒や、書道未経験者も所属する袖ヶ浦高校書道部。強さの秘訣(ひけつ)を部員たちに聞いてみると「とにかく練習」と口をそろえた。「練習をしないと不安になる」「書いた分だけ自信がつく」と話す部員たちの姿は、まるでアスリートだ。
「練習は決して裏切らない」という部訓のもと、書道展の課題などを毎日個別に練習する。「書を見る目」を養うため、毎年4月の1週目に全員で臨書(古人の名作をまねる書の学習法)に取り組むなど、ひたすら書き続ける。休日は1カ月に平均2日。早朝や部活後に自主練習する部員もいる。顧問の金木正志先生は「『練習しろ』ではなく、『早く帰れ』と声を掛けるくらいです」と語る。
強豪ならではの重圧
現3年生は1年時、練習にあまり積極的ではなかったという。転機は1年生の冬、全国青少年書き初め大会で団体優勝を経験したことだった。前部長の三堀めぐみさん(3年)は「団体優勝したのに、私たちの学年から誰も入賞できなくて責任を感じた」と振り返る。強豪校の名を背負う自覚を持ち、大会前は休日も自宅で練習を重ねるようになった。
部員たちは「集中力が上がった」(勝呂咲紀さん・3年)などと、厳しい練習から成長を実感している。一方、先輩たちの実績を背負う重圧も感じている。
悔し涙から即練習
団体3連覇を懸けた全国青少年書き初め大会(1月4日、東京)に向けて部員たちは、年末年始もLINEで金木先生からアドバイスを受けながら自宅で練習を重ねた。部長の平野七奈さん(2年)は「夜中に不安で起きて練習した日もあった」と重圧を振り返る。
大会の結果は、4人が入賞したものの、団体優勝を逃した。三堀さんは「3連覇が懸かる大会で、結果を出さないと……と思っていた」と悔しさをにじませた。
「うまくなるには練習しかないんです」(石井優衣さん・3年)。大会直後には再び練習を始めた部員たちは、書の腕を磨き続ける。
(堤紘子)※コチラで作品を紹介
部活データ 部員21人(全員女子、3年生3人、2年生10人、1年生8人)。「練習は決して裏切らない」「鍛錬と和があるから感動がある」をモットーに、毎日活動している。国際高校生選抜書展全国準優勝2回、全国青少年書き初め大会団体優勝2回など、全国規模の公募展での受賞多数。書道パフォーマンスは年15回以上、千葉県内を中心に披露している。