FRUITS ZIPPERやCUTIE STREETなど、近年「バズるアイドル」を輩出し続けているアイドルプロジェクト「KAWAII LAB.」。高校生の間でも、とりこになる人が続出している。一体何が高校生をひきつけるのか、魅力を聞いた。(椎木里咲)
「かわいい」を世界に発信
「KAWAII LAB.」(通称「カワラボ」)は、芸能事務所「アソビシステム」が手掛けるアイドルプロジェクト。「日本のアイドル文化を原宿から世界に発信する」目的で、これまでFRUITS ZIPPER、CANDY TUNE、SWEET STEADY、CUTIE STREETの4グループを生み出してきた。
FRUITS ZIPPERの「わたしの一番かわいいところ」や、CUTIE STREETの「かわいいだけじゃだめですか?」など、リリースする曲はすぐさま「バズ」り、話題を呼んでいる。
TikTokの週間ランキング「TikTok音楽チャート」には、トップ50(5月30日付)に「倍倍FIGHT!」や「かわいいだけじゃだめですか?」など「カワラボ」の曲がランクインし、若者からの支持が厚いことがうかがえる。
TikTok世代の心をわしづかみに
高校生の心をつかむ理由の一つが、TikTokとの相性の良さだ。高校生にファンになったきっかけを聞くと、「TikTokのおすすめにたまたま流れてきた」と答える人が多かった。
CUTIE STREET推しのモエさん(2年、仮名)は、友達とCUTIE STREETの曲で踊る様子を撮影し、仲の良い友達間で見せ合っているという。
「振り付けが歌詞に忠実でわかりやすいんです。例えば『かわいいだけじゃだめですか?』の『時は戦国 小野小町も 多分本気出してた』の部分は、肩を回して歌舞伎ポーズをする振り付け。私も友達もダンス未経験だけど、すぐに覚えられるし踊れるんです!」

「自己肯定感」高い歌詞
続いて挙がったのが「自己肯定感が上がる歌詞」だ。FRUITS ZIPPERファンのメグミさん(1年、仮名)は、「フルーツバスケット」という楽曲に救われたと話す。「クラス替えの直後、クラスになじめず悩んでいたとき、フルーツバスケットの『苦い顔の時だってある でも変わらない事実 主役は君』という歌詞に背中を押されたんです」
うまくいかなくても、自分の人生の主役は自分。そんなメッセージが心に響いた。「なじめない私は『脇役』だと思ってたけれど、そんなことはないと前向きになれました。『苦い顔の時だってある』と、ネガティブな気持ちも丸ごと受け止めてもらえたようで力が湧いたんです」
「みんな違ってみんないい」メッセージに背中を押された
ユウカさん(仮名、2年)も、カワラボ楽曲の「自己肯定感の高さ」に背中を押された一人だ。友達とけんかしたときや、テストの点が悪く落ち込んだとき、よくCANDY TUNEの「倍倍FIGHT!」やFRUITS ZIPPERの「フルーツバスケット」を聞いているという。
「明るい言葉で励ましてくれる『倍倍FIGHT!』を聞くと、どんな自分も大切にしようと思える。『フルーツバスケット』には『みんな違ってみんな良い』というメッセージが込められているようで、けんかした友達とも仲直りしようって感じるんです」
メンカラはっきり&フリフリ衣装
加えて高校生たちをとりこにしているのが、「衣装のかわいさ」だ。「フリルやリボンがたっぷりあしらわれた衣装にひかれます。坂道系アイドルの大人っぽさや、K-POPのかっこよさとは違う魅力がある。こんなに『かわいい』をテーマにしているアイドルってあまりいないと思うんです」(モエさん)
FRUITS ZIPPERファンのサヤカさん(3年、仮名)は、かわいさに加えて「分かりやすさ」も挙げる。「衣装の色が『メンバーカラー(メンカラ)』でハッキリ分かれている。メンバーも覚えやすいし、友達とも『ピンク色の子かわいいよね!』などと話題にしやすいです」
カワラボアイドルの魅力は、「かわいい」だけではない。どんな自分も肯定し、落ち込む出来事があっても決してネガティブにならないまっすぐな曲を、力いっぱいパフォーマンスする。その姿が、高校生の心に響いている。