過去最多のメダル11 個を獲得した、ロンドン五輪の日本競泳陣。その流れをつくったのは、400㍍個人メドレーで銅メダルを獲得した萩野公介(栃木・作新学院3 年)だった。舞台がロンドンから、インターハイの競泳開催地・新潟県長岡市に変わっても、萩野の勢いは止まらなかった。 (古橋知昭)

やる気スイッチが入った

これが五輪代表選手の貫禄なのか。「世界で戦うには4種目全て強くならないといけない」と、今回は400㍍自由形と200㍍背泳ぎに出場した萩野。400㍍個人メドレーで銅メダルを獲得した実力は、専門以外の種目でも存分に発揮された。

初日(8月17日)に行われた400㍍自由形では「前半から積極的にいけば、もっと良いタイムを出せたかもしれませんが、満足しています」と、高校記録にあと0秒24まで迫る3分48秒61の大会新記録で優勝。仲の良い山口観弘(鹿児島・志布志3年)が200㍍平泳ぎで驚異的な高校新記録を樹立したレースを見て「やる気スイッチが入った」と臨んだ3日目の200㍍背泳ぎは、入江陵介(イトマン東進)が持つ高校記録を破る1分55秒81で制した。

実は、インターハイは今回が初出場。1年生の時はパンパシフィック選手権、2年生の時は世界ジュニア選手権に出場していた。「高校生がこの大会に懸けているという思いが伝わってくる。僕も五輪代表選手としてのプライドを持って、ここで泳げたのは良かった」と話す。

おしゃべり AKB好き

インタビューの受け答えもしっかりしており、非常に真面目な印象を受ける萩野だが、意外な一面もある。「黙っていれば、もっとよく見える」と友達に指摘されるほどの話し好き。さらに、コンサートや握手会にも足を運ぶほどAKB48の大ファンだ。会場で友達と話す時は、本当に銅メダリストなのだろうかと疑問を持ってしまうほどの無邪気な笑顔を見せる。

しかし、水泳のことになると目の色を変えて「自由形をもっと強化して自分の武器にしたい。早く落ち着いて練習を再開できればと思います」と、気持ちはもうリオデジャネイロに向いている。

【はぎの・こうすけ】
1994 年8 月15 日、栃木県生まれ。作新学院3 年・御幸ヶ原SS。生後5 カ月でベビースイミングから水泳を始める。小学生の時に引っ越し先の愛知県で頭角を現し、小学3 年生で地元に戻って御幸ヶ原SS に入り、さらに注目される。400㍍個人メドレー日本記録保持者。175㌢、70㌔。