2年生エースの金子聖輝。ユース代表ではセッターとしてプレーする

第67回全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)の決勝が1月11日、東京体育館で行われた。男子は東福岡(福岡)、女子は金蘭会(大阪)が熱戦を制し、共に悲願の初優勝を遂げた。両校は全国高校総体(インターハイ)、国体に続く全国制覇で、3冠を達成した。
(文・田中夕子、写真・幡原裕治)

ライバル対決制す

3冠を狙う東福岡が決勝で対戦したのは、藤元聡一監督(39)が「全国のどのチームよりも練習試合や合宿を多くやってきて、手の内も、ウチを崩す策も知り尽くした相手」と言う大村工(長崎)。九州勢同士の決勝で、「打倒東福岡」を掲げる大村工が警戒していたのが、東福岡の2年生エース、金子聖輝=福岡・香椎三中出身=だった。
 身長188センチ、最高到達点はチームトップの333センチ。ダイナミックなフォームから放つスパイクが最大の武器だが、何度も対戦してきた大村工には得意なコースや癖が見抜かれていた。
 大村工は、序盤から金子の攻撃に対しては常に2枚のブロックをつけ、ブロックに当たったボールをフォローするため、レシーバーも後方に配置した「金子シフト」を完璧に組んできた。

「金子シフト」にひるまず

それでも金子はひるまなかった。「打っても打っても拾われた。相手も気持ちで向かってきていたから、自分も引かずに『とにかく決めてやる』と、強い気持ちで打ち続けました」。前衛からも後衛からも果敢に打ち続け、徐々に流れを引き寄せいていく。
 競り合いながらも1、2セットを連取した東福岡は、第3セットで8連続得点を奪うなど大量リード。最後は主将の森健太郎(3年)=同・三輪中出身=のスパイクで悲願の初優勝を決めた。
 その瞬間、2年生エースは両手を突き上げ、共に戦ってきた3年生たちと抱き合い、喜びを爆発させた。「去年は何も分からず出ていただけで、今年も3年生に助けてもらった。でも最後は、ちょっとだけチームを助けることができたかな、と思います」(金子)

【TEAM DATA】
1954年創部、部員28人(3年生14人、2年生7人、1年生7人)。2002年に藤元聡一監督が就任し、本格強化に乗り出す。08年に春高初出場を果たし、09年に準優勝、14年3位。昨夏のインターハイで初の全国制覇。