悲しい時、うれしい時、私は必ず谷川俊太郎さんの詩を読みます。やさしい言葉でありながら、その独自の世界観を作品にして届けてくれた谷川さんの多くの言葉はいつでも、暗い心に光をともしてくれました。(高校生記者・ぼこみ=1年)
音楽のようにリズミカル、「平和」の詩に衝撃
私が谷川さんを知ったのは小学生の時。時に深く、時に意味が分からず、時に笑える谷川さんの詩は、音楽のようにリズミカルな言葉を届けてくれました。
私が好きな詩の一つが「平和」。初めて読んだ時、衝撃を受けました。中でも、「平和 それは花ではなく 花を育てる土 平和それは歌ではなく 生きた唇」という部分が印象的です。
教科書やテレビで語られる戦争や平和は、どれも小難しい言葉で似たりよったりなものばかり。しかし谷川さんは、いとも簡単な単語で、私の平和に対する認識を覆してきました。平和な日常を当たり前とは思えない、この世界が間違っていることに気付かされます。
あたたかい言葉が心の隙間を埋めてくれた
谷川さんの言葉には、どうしてこうも心が動かされるのだろうと感銘を受けます。言ってしまえば言葉など、ただの文字にすぎません。しかしどういうわけか、並べられた言葉に、人生を救われます。
谷川さんの詩は、私にとって人生の先生でもありました。目の前のことでいっぱいいっぱいになっている私に、優しく導いてくれます。その言葉はあたたかく、心の隙間を埋めてくれるような安心感にあふれていました。
終わりに、谷川さんが亡くなった後、2024年11月17日に朝日新聞に掲載された詩の一部を紹介します。
「どこも痛くない 痒くもないのに感謝 いったい誰に? 神に? 世界に? 宇宙に? 分からないが 感謝の念だけは残る」(「感謝」より)
私は今、谷川さんに感謝したいです。たくさんの発見と勇気を、支えと救済を、本当にありがとうございました。そしてこれからも、お世話になります。