「進研摸試」のメタバース会場。アバターとして入室して説明を受ける

ベネッセコーポレーションは高校生向けの模擬試験「進研模試」をインターネット上の仮想空間「メタバース」内で受験できるようにし、2024年9月25日から受け付けを始めた。受験料は会場受験より引き下げ、受験生は時間や場所を問わずに受けられる。

今年度は「共通テスト模試」など4試験が対象

今回、メタバース会場を設けるのは、第1回駿台ベネッセ大学入学共通テスト模試(駿台予備学校と共催、試験期間は9月30日~11月3日)。今回の模試を含めて今年度内に、メタバース受験が可能な模試を4回(マーク式3回と記述式1回)予定している。

アバターで受験室に、試験前後に他の生徒と「会話」も

メタバース会場を申し込めるのは、学校で同じ模試を受験しない生徒。受験者は試験期間中の都合のよい時にパソコンなどからメタバースに入り、アバター(分身)をつくって、大学の講義室風の「受験会場」で試験の説明を聞いたうえで、ブラウザ上で問題を読む。

試験はブラウザ上に映し出された問題を読んで回答する。画面分割機能を使うと、問題文と設問を同時に表示することもできる

マーク式模試では解答もブラウザ上で入力し、試験終了後すぐに採点結果を確認できる。記述式の試験では解答用紙をスマホなどで撮影して送ると1〜2週間後に採点が完了する。制限時間は会場受験と同じだが、教科ごとに別の時間に試験を受けることが可能。試験の前後には、他の受験生とメタバース上で音声やチャットで話して交流できる機能も設けた。

試験の前後に「コミュニティルーム」で他の受験生と音声やチャットで話すことができる(ベネッセコーポレーション提供)

共テ模試は2200円、記述模試は2700円

今年度の共通テスト模試の受験料は2200円(税込)、記述模試は2700円(税込)。高校の会場で受ける場合は5000円程度かかるといい、問題用紙の印刷や答案の送付がないなど会場受験とサービスが異なる分、安価な受験が可能になった。会場受験の標準実施日より3週間遅れで受験が可能となる。メタバース受験した生徒の点数は全国集計に含まれないが、自分の成績をもとに大学ごとの判定結果を確認することはできる。

「どこにいてもメタバースでつながれる」

ベネッセによると、他社でオンライン受験が可能な模試はあるが、メタバース会場を設けたのは業界初という。取り組みの理由として、少子化などにより周りに同じ大学を目指す仲間がいない生徒や、通信制高校に在籍するなどして登校しない生徒が増えていることを挙げる。戸賀瀬知佳子・ビジネスイノベーション部長は「どこにいても、メタバースで多くの仲間とつながり、大学入試に向けた模擬試験を受けられる」とメリットを語る。

メタバースを使った職業体験や海外交流も視野

ベネッセは今後、メタバースを利用した高校生向けのサービスを拡大する方針。進路相談のほか、社会人とつながって職業体験をしたり、海外の高校生と交流したりするサービスが考えられるという。

今年度にメタバース会場でオンライン受験ができる模試はほかに高校3年生が主対象の「第2回ベネッセ・駿台記述模試」(11月5日~24日に受験)、「第3回ベネッセ・駿台大学入学共通テスト模試」(11月26日~12月26日に受験)と、高校2年生が主対象の「進研模試 大学入学共通テスト模試・2月」(2月24日~3月27日に受験)。詳細と申し込みは公式サイト(https://youmetas-lp.benesse.co.jp/)から。