私は、大学の総合型選抜対策を始めとする高校生活の中で、「伝わる文章が書けることは大きな強みになる」と実感しました。1年生の頃から高校生新聞で高校生記者をしている私が、「伝わる文章」を書くうえでの3つのコツをご紹介します。(高校生記者・桜いをり=3年)
【1】目的を明確に
1つ目は、書き始める前に「誰に」「どうして」伝えたいのかをはっきりさせることです。例えば、入試のときに提出する自己推薦書は「自分のことを全く知らない大学の先生に」「自分の長所を知ってもらって『ぜひうちの大学に来てほしい』と思ってもらうため」に書きます。日記ならば、「未来の自分に」「現在の自分の気持ちを思い出してもらうため」に書きます。
ここで一度立ち止まって考えることが、文章をスムーズに書くポイント。伝える相手と目的を明確にしたら、文章の輪郭をざっと決めるイメージで、書く内容を箇条書きにしていきます。自分が伝えたいことを軸に、文章の構成も一緒に考えるのがコツです。
個人的には、小論文や自己推薦書などかしこまった文章なら最も主張したい結論から、作文など感情や共感を大切にする文章なら具体的なエピソードから書くのがおすすめです。
【2】一文は短く
2つ目は、一文を短くして文法の間違いを徹底的になくすことです。始めは「一文につき伝えたいことはひとつ」を意識して書いていきます。文章が細切れになり過ぎていても、次のステップの推敲(すいこう)で読みやすく直すので問題ありません。
一文を短くすることで、主語と述語が離れてしまい、どことどこが対応しているか分からなくなることが減ります。文法の間違いをなくすうえでもおすすめの方法です。
時間との勝負になる小論文の試験では、この「一文を短く書く癖」がとても有効です。後からの修正もしやすくなりますし、試験では美しい文章ではなく、論の展開がしっかりした正確で分かりやすい文章が求められるので、推敲に割ける時間が減っても、最低限の伝えたいことは伝わる文章になります。
【3】他人の文章を直すつもりで推敲
最後は、客観的に推敲することです。文章の全体を見渡して、短過ぎる文を接続詞でつなげたり、話の展開が破綻していないか、話を横道にそらす不自然な一文がないかを確認したりしていきます。
ここでのポイントは、他人が書いた文章を直すような気持ちで推敲すること。時間に余裕がある課題なら、書いてから1日ほど時間を置くのがおすすめです。制限時間のある試験などでは、目をつぶって深呼吸するのが効果的。それだけで、少し冷静な気持ちになれます。客観的な視点で文章を直したら、最後にもう一度誤字脱字をチェックして、完成です。
「何を伝えたいか」を考えて
文章を書くことは、あくまで手段です。大切なのは、その文章を読んだ後、読んだ人にどう感じてほしいかだと思います。
この文章は、「文章を書くことに苦手意識がある人に」「具体的な文章の書き方を紹介して、少しでも苦手意識を和らげてもらうため」に書きました。少しでも参考にしていただければうれしいです。