仲間たちと円陣を組み、肩をたたき合って気合を入れる。GoARROWS, We are the no.1,Woo!―今年3月、チアダンスの全国大会USA Nationalsin Japan2012に出場。伝統校がひしめく中で決勝進出を果たし、ARROWSというチーム名にふさわしい、見る者の心を射ぬくダンスで全国5位となった。

「『全国の舞台に立ってる!』という興奮でいっぱいでした。積み重ねてきたものをすべて出し切るつもりで踊りました」(清水桃子さん・3年)

そんなチアダンス部もかつては部員が5人だったことも。テレビで見たダンスをコピーして踊る文化祭が、唯一の活躍の場だったという。

転機は2007年、前年教員になったばかりの松崎由香里先生が顧問になってからだ。「生徒たちに、目を輝かせてできることを見つけてほしいと思いました。女子校出身なので、女の子の持っているパワーはよく知っていたんです(笑)」

まずはチアリーダーとして野球部の応援を始めた。活躍の場が増えたことで注目されるようになり、部員の数も33人に増えた。そして10年夏、松崎先生は生徒たちに提案した。「本気でチアダンスの大会を目指してみない?」

清水さんたちが、1年生だったときのことだ。

週に3日の練習が毎日午後8時までになり、月2回、専門のコーチからも指導を受けた。ところが、ほとんどの部員にとっては練習メニューをこなすことすら難しく、「こんなことがしたかったわけじゃない」と退部者が続出。翌年1月に初めて出場した大会が終わるとすぐ、さらに数人が退部した。

残った部員たちの目の色が変わったのはそれからだ。「大会でほかのチームの演技を見て、あんな風になりたいと本気で思いました」と清水さん。パソコンで練習メニューを調べ、強豪チームのダンスをYouTubeで研究しながら、がむしゃらに練習に取り組み始めた。

その結果が、昨年6月に行われた全国高校ダンスドリル選手権関東大会でのまさかの6位入賞だ。同時に出場が決定した7月の全国大会では8位の成績を残した。「先生が全国大会を目指すって言った時、『さすがに無理でしょ』て思った。でも挑戦すれば何でもできるんだと分かった気がします」(清水さん)

今は新入生を含め17人で練習に励む。「みんなで声を出し合って、気持ちを一つにして踊っているときが最高に楽しい」(武井梨恵さん・3年)。「つらくても充実している。頑張る楽しさは、頑張った人にしか分からないと思う」(清水さん)

「目標は夏の全国大会で表彰台に上ることです」という2人の目が、キラキラと輝いていていた。(文・写真 野口涼)

学校紹介

1976年創立。門屋恵校長。生徒数740人。校訓は「自主 協力 調和」。