ノートと言ったら、おなじみの「キャンパスノート」シリーズを思い浮かべる人が多いだろう。累計の国内販売冊数は約35億冊(2022年12月末時点)にものぼる。約50年の進化の歴史をコクヨ担当者に聞いた。(文・野村麻里子、写真・コクヨ提供)

【1959年】ばらけない無線とじノート発売

1959年、当時ノートの主流は、紙を糸でまとめる「糸とじ」だった。ページを破るとばらける上、ふくらむのでかさばり、見開きがしづらい。コクヨは糸を使わずにのり付けで製本する「無線とじ」の技術を製品化。ノートの表紙と中の紙をのりだけで固定するのはとても難しく、製本技術の開発は年月を要した。

「画期的だったにも関わらず、ひ弱な印象に受け取られたのか、当時のユーザーの反応は冷ややかだったそうです」(コクヨ広報担当・佐藤祐子さん)

【1975年:初代】カラフルなデザインで学生の心をつかむ

その後、改良を重ね、無線とじの技術を使った学生向けのノートを75年に発売。初代キャンパスノートの誕生だ。「カラフルな表紙は当時、画期的なデザインでした」(佐藤さん)

1975年初代のキャンパスノート

1983年:2代目】おなじみの「Campus」ロゴ誕生

表紙のデザインを刷新し、中を見なくとも7ミリ間隔で罫線が引かれたA罫(けい)か、6ミリ間隔のB罫かが一目で分かるようになった。「Campus」のロゴが誕生した。学生だけでなく、社会人にも定着したという。

2代目のキャンパスノート

【1991年:3代目】ロゴを縦置きしてデザイン性UP

ノート市場が拡大し、さまざまなノートが販売される中、デザインにさらなる独自性を持たせるために縦にロゴを配置し、ビビッドな色合いを採用。98年には再生紙を使ったキャンパスノートも誕生した。

3代目のキャンパスノート

【2000年:4代目】背が破れにくい技術を導入

ノート市場の低価格化が進む中、あえて「付加価値の高いノート」を追求。「背の部分が破れやすい」という声を聞き、ノートの背の部分を守る「背クロス」の強度を高める材料を研究した。特殊フィルムをラミネートした破れにくい背クロスを開発に成功した。

4代目のキャンパスノート

「繰り返し使うことで起きる摩耗への耐性は10倍以上、繰り返し折り曲げる時の耐久性は約3倍と、丈夫な背クロスを作ることができました」(佐藤さん)

【2011年:5代目】環境への配慮と書きやすさの両立

表紙の使いやすさを見直し、タイトルや名前が書けるスペースを広くとった。ロゴを刷新し、一番下にロゴを配置するデザインに変更。背クロスに文字が書けるようになったので、立てて並べて教科名を書いておけば一目瞭然だ。パルプ使用量を削減し環境へも配慮した。

5代目のキャンパスノート

「中紙は書きやすさにこだわりました。厚さや重みは減ったのに、裏うつりやにじみにくさは従来品と同様の状態を維持しています」(佐藤さん)

その後も時代に合わせて多彩な商品を開発している。一部を紹介する。

■キャンパススタディプランナー(2018年)

中高生向けのスケジュール管理アイテムで、「スタプラ」の愛称で知られる。細かく記録したい人向けの「1日1ページ」、全体を把握して計画を立てられる「見開き1週間」、定期テスト対策に最適な「見開き2週間」の3タイプがあり、用途に応じて選べるのが特徴だ。計画的に勉強し、記録することで、勉強の効率化を目指す。

キャンパススタディプランナー

■キャンパスソフトリングノート(2020年)

2015年に時代に合った、より使いやすいリングノートを開発。3年かけて開発した「柔らかリング」を用いた。「通常の金属のリングだと手が当たって痛いと感じる人も多いです。柔らかリングは手が当たっても柔らかい素材なので気になりません。そのリングを2020年に学生用のノートに採用しました」(佐藤さん)

キャンパスソフトリングノート

■キャンパスノートハーフサイズ(2021年)

セミB5ノートの半分のサイズのノート。ノートPCやタブレット端末の普及で、机の上がスペース不足になりがちな状況に注目した。「パソコン前の狭いスペースでも広げて使えます。方眼罫(けい)タイプもありますよ」(佐藤さん)

キャンパスノートハーフサイズ

「平ら」になる新商品

23年12月には、新商品「キャンパス フラットが気持ちいいノート」が発売される。開いてもページが膨らまず、平らなままで使えるのが最大の特徴だ。

旧ノート(画像上)とフラットが気持ちいいノート(画像下)。比較してみると平ら具合がはっきりわかる

スマホでノートを撮影する中高生の増加を受け、写真に撮りやすい平らさを追求。さらにキャンパスシリーズで初めて「ページ番号欄」を廃止し、代わりに「時間の記入欄」を導入。佐藤さんは「罫線(けいせん)は左右のページで途切れずつながっているので、見開きでノートを取ることも簡単にできる」と言う。

フラットが気持ちいいノートは今の中高生たちの学びへの向き合い方を反映している

もっと安いノートはいくらでもある。だが、なぜ「キャンパスノート」は選ばれるのか。佐藤さんは「ちょっと気が利いた感じがいい」とユーザーに言われるという。「紙質や罫線(けいせん)の濃さ、ドットの打ち方などキャンパスシリーズと比べると全然違う。ほかのノートを使ってみて、『やっぱりキャンパスノートだよね』と戻ってきてくれる方も多いんです。表紙も毎年いろいろなカラーやデザインで出していて、楽しみにしてくれているファンも多くいます」

常にユーザーの快適さを重視し、時代の流れをいち早くくみ取り、ノートづくりに反映してきた。そこにキャンパスノートが愛される理由がある。

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