北海道・函館西高校書道部の若山翔君(3年)は第 40回全国高校総合文化祭広島大会(ひろしま総文)の書道部門(8月、広島市)で文部科学大臣賞を受賞した。作品「揺籠の波」は、若山君が幼い頃に経験したコンブ漁の思い出を近代詩文書で表したものだ。(野村麻里子)
3カ月で300枚練習
出品作品に迷い、近代詩文書と古典臨書を同時並行で書き続けていたが、「これまではずっと古典臨書をやってきた。新しいことに挑戦したくなり、(近代詩文書を出品することを)思い切って決めた」という。提出締め切りの3カ月前からは「揺籠の波」をひたすら書き続けた。書いた数は300枚以上に上る。
作品のテーマは、幼い頃の懐かしい記憶。祖父母に連れられて初めてコンブ漁に出た時に感じた不安や興味、乗り込んだ磯舟の揺れを「揺籠の波」と表現した。「磯舟の揺れはゆらゆらと穏やか。鋭さではなく、あたたかい線が出るように意識した」
書を極め「美しい心の人になる」
姉の影響で小学生の頃から習字を習っていた。高校の書道部の活動はほぼ毎日あり、若山君は平日は毎日2〜3時間、休日は5時間、練習している。上達の秘訣を聞くと 「とにかく練習して感覚を覚えて、いろいろな作品に取り組むのが一番」だと教えてくれた。
書道部顧問として若山君を見守ってきた佐々木裕美先生は「入学時、『美しい字を書ける人は美しい心の人になれる。だから美しい字を書いて書道を極めたい』と言っていたのが印象に残っている。(受賞は)学校行事が重なる中、毎日書き込んで、頑張った結果だ」とたたえた。