皆さんは文章に心を動かされた経験はありますか? 良い作品を読むことで、日頃の生活がより豊かになります。今回は誰もが一度は聞いたことがある「芥川賞」作品の魅力や、私なりの楽しみ方を紹介します。(高校生記者・茶豆=3年)
質の高い純文学を楽しめる
「芥川賞」について、「名前なら聞いたことある!」という人が大半だと思います。あまり本を読まない人にも知られているほど有名で、文学界でも非常に権威のある文学賞です。
新鋭作家による純文学の中・短編作品の中から選ばれます。受賞作『火花』(又吉直樹著、文藝春秋)や『推し、燃ゆ』(宇佐見りん著、河出書房新社)などは、高校生の中にも読んだことのある方が多いのではないでしょうか?
一つ一つの作品の質が非常に高く、個人的には「ハズレだな……」と感じる作品があまりないのもうれしいポイントです。
辞書を使って作品にのめり込もう
芥川賞は純文学を対象にした文学賞で、エンタメ小説(娯楽小説)は選考の対象外。なので、「堅苦しい」などの印象を抱くかもしれません。しかし、純文学の文体にしか出せない読後の余韻がたまりません。初めは読みづらいと思いますが、ゆっくり無理せず、作中の表現世界にのめり込んでください。
なお、普段本を読まない人は辞書が必須です。私も慣れるまで苦労しました。日常を過ごす中で常用漢字以外の文字が使われた表現に触れることはまずないですので、難しい文章と向き合うことにも楽しんでみてください。
いつでも気軽に手に取れる
芥川賞作品は基本的に図書館でありますし、学校図書館にも置いてあります。「買ったけど面白くない……」などと感じるリスクが低いと思うので、ぜひ借りてみてください。今年7月には『ハンチバック』(市川沙央著、文藝春秋)の受賞が発表されました。
個人的にオススメなのは、第19巻まで刊行されている「芥川賞全集」です。収録されている中での最新作が2000年代と少し古めですが、あらすじが書かれていないのでタイトルから惹かれた作品を読むのに最適です。直感と印象で作品を選んで読んでみるのも、良い読書体験になりますよ。