公的機関やさまざまな民間団体が実施する奨学金の中で、もっとも利用者が多いのは国の奨学金である「日本学生支援機構奨学金」。実は、高3の春には申し込みが始まっています。いつ、どうやって申し込めばいいのか、奨学金アドバイザーの久米忠史さんが詳しく解説します。(中田宗孝)

7割は高3時点で申し込む

―「日本学生支援機構」の奨学金の申し込み方法を教えてください。

進学前の高校3年生の時点で申し込む「予約採用」と、大学や専門学校などに入学した直後に申し込む「在学採用」の2種類です。同機構の奨学金利用者の7割以上が予約採用で、高校生のうちに奨学金を申し込んでいます。

―予約採用はいつ、どうやって申し込むのですか?

予約採用は自分の進路が未定でも申し込みができますし、高校を卒業して2年以内のいわゆる「2浪」までなら出身校を通して申し込めます。

高校3年生のうちに「高校を通じて3回」申請の機会があります。おおよその申し込み時期は以下のとおりです。

申し込みは高3の4月から始まる(『もらえる! 借りる! 奨学金の完全活用ガイド2022』(合同出版)参考)

これらの日程はあくまで目安です。手続きを保護者まかせにせず、高校生自ら進路指導の先生に「予約採用」の募集時期をしっかり確認して、奨学金の申請スケジュールを把握してください。

―予約採用はキャンセルできますか?

最終手続きの段階で申請内容の変更・キャンセルができます。最終手続きの時期は、インターネットで日本学生支援機構に「進学届」を提出する「進学後の4月」です。

進学後も奨学金を借りられる

―在学採用について知っておいた方が良いことはありますか?

「貸与型奨学金」「給付型奨学金」ともに、春募集と秋募集があります。高校3年生のときに予約採用を申請して不採用になった人でも、再度「在学採用」に申し込みができるのがポイントです。

予約採用が主流のためか、予約採用の期間が終了すると「奨学金の申請は終わってしまった……」と勘違いしてしまう高校生、保護者が多いんです。そうではなく、「在学採用」の制度もあるので、進学先に入学したあとも奨学金に関する情報のアンテナを張り続けておくことも大切です。

 
久米忠史さん 
奨学金アドバイザー。株式会社まなびシード代表取締役。奨学金制度のスペシャリストとして、高校・大学で講演、全国各地での進路相談会を年間150回以上行う。最新共著『もらえる! 借りる! 奨学金の完全活用ガイド2022』(合同出版)。ホ―ムペ―ジ「奨学金なるほど!相談所」(https://shogakukin.jp/