進学を考える高校生やその保護者にとって、「奨学金」は気になるトピックの一つ。そもそも奨学金とはどんなお金で、どれくらいの人が利用しているのか。奨学金に関する基本的な疑問を奨学金アドバイザーの久米忠史さんが分かりやすく解説します。(中田宗孝)

奨学金は「借金」

―そもそも「奨学金」とはなんですか?

「奨学金」とは家庭の経済的な事情で、大学や専門学校などに通うための進学費用を支払えない人に対し、お金を貸したり、給付したりする制度です。

―奨学金には「貸与型」と「給付型」があると聞きました。どこから貸与、給付してもらえるのでしょうか?

国の奨学金事業は「日本学生支援機構(JASSO)」が行っています。そのほかに、地方自治体(都道府県・市区町村など)や全国の各大学、そして民間企業などが独自の奨学金制度を設けています。

奨学金は国や地方自治体や大学、民間企業などが扱っている

―貸与型の奨学金を利用する場合、高校生、保護者のどちらが借りる形になるのですか?

奨学金制度を利用する際、契約者は高校生(学生)のみなさんとなります。保護者ではありません。奨学金を借りて進学先を卒業した後、契約者が全額返還していかなければなりません。奨学金を分かりやすくたとえるなら、学生自らの「借金(負債)」なんです。

約半数の学生が利用

―大学生の何%が奨学金を利用しているのですか?

日本学生支援機構の「学生生活調査」(2020年度)によると、4年制大学(昼間部)の学生の49.6%、短期大学(昼間部)の学生の56.9%、要するに約半数が何らかの奨学金を受給しています。

受給者の受給率は地域差があります。同機構の奨学金は高3時に申請する人が大半ですが、首都圏在住の高校生と地方在住の高校生では世帯年収に差がありますし、首都圏在住の高校生は、自宅から通える範囲に多くの大学や専門学校がある環境が整っています。

一方、地方在住の高校生は進学先の学費に加えて下宿費もかかることが多い。地方在住の高校生やその保護者は、奨学金制度の利用ありきで考えるケ―スが圧倒的に多いんです。

 
久米忠史さん 
奨学金アドバイザー。株式会社まなびシード代表取締役。奨学金制度のスペシャリストとして、高校・大学で講演、全国各地での進路相談会を年間150回以上行う。最新共著『もらえる! 借りる! 奨学金の完全活用ガイド2022』(合同出版)。ホ―ムペ―ジ「奨学金なるほど!相談所」(https://shogakukin.jp/