英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)は2023年3月23日、日本の国公私立大学のうち271校の「教育力」を独自の基準で測って順位づけした「THE日本大学ランキング2023」を公表した。1位は、4年連続で東北大だった。(西健太郎)

「THE日本大学ランキング2023」の上位に入った大学一覧

アンケートなどで「教育力」を測定

世界大学ランキングで知られるTHEの日本版大学ランキングは7回目。「世界版」が研究力を重視しているのに対し、日本版は教育力を測ろうとしているのが特徴だ。学生数1人あたりの教員数や教員1人あたりの外部資金獲得数、論文数などに基づく「教育リソース」、在学生や高校教員へのアンケートによる「教育充実度」、企業人事や研究者の評判を調査した「教育成果」、外国人学生数・教員数や日本人学生の留学比率による「国際性」の4分野を点数化し、総合点で順位付けしている。

東北大が4年連続1位

1位の東北大は、85.9点。一昨年(84.5)、昨年(85.6)より上昇した。分野別では、教育リソースで4位、教育成果で2位など、バランスよく評価された。

東京大は2年連続で2位。2018年は1位だったが、以後は1位から遠ざかっている。教育リソースで昨年の1位から2位に順位を落とした。

3位は昨年に続き大阪大。3年前の2020年は8位だったが、順位をあげてきている。分野別の教育成果で5位に入った。

4位は東京工業大。教育充実度が6位、教育成果が8位で、教育面の評判が安定していることがうかがえる。東工大との統合を決めている東京医科歯科大は総合17位だった。

5位は昨年に続き、京都大。2019年は1位だったが、近年順位を落としている。分野別の教育成果のランキングは5年連続で1位だった。

私立トップは国際基督教大、公立トップは国際教養大

私立大で上位に入ったのは、10位の国際基督教大(昨年は12位)、12位の慶應義塾大(昨年11位)、14位の早稲田大(昨年13位)、22位の上智大(昨年20位)と立命館アジア太平洋大(昨年24位)など。国際基督教大が10位以内に入ったのは初めて。分野別の教育充実度で初めて1位になったほか、国際性で2位に入った。

公立大では、15位の国際教養大(昨年17位)、24位の会津大(昨年18位)が上位に入った。国際教養大は教育充実度が2位(昨年1位)だった。

コロナ禍を経て学生と教員との交流はむしろ拡大

大学教育へのコロナ禍の影響について、調査をとりまとめたTHEのダンカン・ロスさんによると、日本人学生の留学比率がコロナ禍前の数値には戻っていない。一方で、学生と教員の交流はコロナ禍を経てむしろ上昇しているという。大規模大学でその傾向は顕著で、「大規模大はコロナ禍中も、(学生が教員との)交流を拡大できた。大規模大が利用できるリソースが理由かもしれない」と話している。