パソコンやスマホのアプリ、乗り物、家電など、さまざまなものに欠かせない「ソフトウェア」。それを開発する技術者である「ソフトウェアエンジニア」である父に、仕事内容をインタビューしました。(高校生記者・わっちょ=1年)
30人のチームをまとめ管理
―具体的な仕事内容を教えて。
自動車に搭載する部品のソフトウェアを作っているよ。今は30人くらいのチームで開発を行っていて、プロジェクトマネージャーとして、全体の管理を行っているんだ。
―どこで、どんな職種の人たちと仕事しているの?
チームのメンバーは仕事内容によって、自宅で仕事をするか、出社するか決めているんだ。設計は自宅で行うよ。ソフトウェアのテストは出社して、製品にハードウェアを組み込んで行うよ。
お父さんはマネージャーだから、課題があるときにすぐに対応できるように、毎日出社しているんだ。日本や海外のソフトウェア会社に仕事を委託して一緒に仕事をしているよ。海外の会社の場合、やりとりは英語になるよ。
―一日の流れを教えて。不規則なの?
同じチームの人たち10人くらいで朝のミーティングをするよ。そこで皆の進捗(しんちょく)を確認、調整する。その会議の後にはチームの状況を報告する会議に出るよ。その後は日によって違う。チームの状況を報告する資料を作ったり、設計のチェックをしたり、委託先の会社と打ち合わせをしたりするんだ。
文章力は理系でも必要
―この仕事を目指した時期と、目指そうと思ったきっかけは?
お父さんが大学生のときに車を運転するようになったんだけど、ちょうどカーナビやETCが広まった時期だった。環境汚染、交通渋滞などの社会問題の解決に貢献できる仕事だと考えて、車載器関係の仕事がしたいと思うようになったよ。
―必要な技術は?
ソフトウェア全般の知識。ソフトの設計技術、プログラミング、テスト手法についてだよ。日々新たな技術や手法が出てくるから、それに追従していく必要があるよ。ハードウェアの知識を、ある程度大学や高専で学んだのも役立っているかな。
―どうして高専を進路に選んだの?
コンピューターに興味があって、国語や社会の勉強は好きではなかったんだ。高専を出たらそのまま働くっていう選択肢もあったし、好きなものを学ぶのに一番良い選択肢だと思ったから選んだよ。
―高校生のうちから身につけられる力って何がある?
文章力は文系理系やどんな職業につくか関係なく必要だと思う。曖昧さがなくて、誰にでも間違いなく簡潔に伝えることができる文章を書けるようになるべきだと思うよ。
英語も学んだほうがいいかな。自分自身もこの仕事をするにあたって、英語がしゃべれたことでチャンスが広がったよ。仕事の基本となる技術に英語力も追加されることで、自分の価値を上げることができると思う。
自分の成長を実感できる魅力
―この仕事の厳しさ、大変なところは?
数年で変化する業界のトレンドを取り込んで、魅力的な商品を作るところが大変だね。例えば、数年前までスマホとカーナビが連携するような機能はなかったよ。電気自動車も10年前は今ほど普及していなかったよ。
―将来、どんな風に変わっていくと思う?
世の中は、個人で車を買わなくなってカーシェアが増えたり、自動運転が当たり前になったり、高齢社会の課題が出てきたりすると予測されるよ。新しく出てくる課題解決の手段として、世の中に貢献できる仕事だと思ってる。
―やりがいを感じる瞬間は?
自分の作ったソフトが載った車が発売されたとき。あとは、若い人が仕事を覚えて成長した姿を見られたときはやりがいを感じるよ。
―魅力は何だと思う?
一つの商品を作り上げることは、一人では成し遂げられないんだ。多いと200~300人が参加するよ。それを成功させられるとすごく面白い。海外の人と仕事をすることで文化や考え方の違いを知れて、自分の成長を実感できることも魅力だね。
【取材後記】仕事は学校生活の延長線上にある
父の仕事はざっくりとしか知らなかったので、働く大人としての新たな一面を知ることができ新鮮でした。身近にあふれているさまざまなソフトも、誰かが丹精をこめて作ったものだと考えると感慨深いです。
私は、社会に出て仕事をすることは、責任が伴って苦しいものだという認識がありました。しかし、仕事をすることは、学校生活などで力を養った延長線上にあると感じました。私も目の前の一つ一つのことに真剣に取り組み、自分の描く将来へ近づきたいと思います。