椎木菜央さん(静岡・富士市立高校3年)は、ミニチュアサイズの電車を「おさんぽ」させ、その様子をSNSにアップする「おさんぽがくでんプロジェクト」を進めている。一体どんな活動内容なのかを聞いた。(椎木里咲)

アート作品使い「SNS映え」狙う

カエルやインコ、ウサギのマスクをかぶった高校生が、ミニチュアサイズの電車を「おさんぽ」させる……。そんな不思議な光景を生み出しているのが、「おさんぽがくでんプロジェクト」だ。椎木さんと友人の女子高校生計3人が、ミニチュアサイズの岳南電車や動物のマスク、大きな花などのアート作品を使って駅や電車内で写真・動画を撮影。それらをインスタグラムをはじめとするSNSに投稿する活動である。

「おさんぽがくでんプロジェクト」とは? 

 

きっかけは、友人から「岳南電車は欠かせない存在」だと聞いたことだ。岳南電車は富士市内を走る路線距離9.2kmの電車だが、乗客数が減少し、かつて廃線の危機に追い込まれた。

絵を描くことが好きで、小学校1年生のときから絵画教室に通っている椎木さんは、アートやデザインを使って岳南電車を盛り上げ、富士市の観光に貢献するため、自分に何ができるかと考えるようになった。

「『映え』をコンセプトに岳南電車を盛り上げ、富士市の観光に貢献できないかと思い始めました。そして、ただの『映え写真』でなく『私らしさ』を加えるにはどうすればよいかを模索しました」

そして椎木さんが通う絵画造形教室の代表・あしざわまさひとさんと協力して、「ミニチュアサイズの電車をお散歩させる」という活動を始めた。あしざわさんがミニチュアサイズの電車などのアート作品を提供し、それを使って椎木さんが動画の撮影とSNSへの投稿を始めた。

動物のマスクで非日常感を表現

動画を撮影する際に、椎木さんらは動物のマスクをかぶる。非日常感あふれる動画をSNS上にアップすることで注目を浴び、岳南電車や富士市の観光を盛り上げたいという狙いがあるためだ。

動物のマスクや大きな花といったアート作品を使って動画を撮影する

SNSの盛り上げに尽力

インスタグラムのフォロワー数アップに苦労した。TikTokははやりの音楽やフィルターを工夫してフォロワーが3000人に拡大するほど話題に上ったが、インスタグラムのフォロワーは現在約300人。フォロワー数を増やすべく試行錯誤中だ。富士市の観光の盛り上げを目的としているので、背景には富士市と分かるものを入れて撮るよう工夫を重ねている。

SNSを見て岳南電車を訪れた人も

「このプロジェクトのSNSを見て、岳南電車に乗りに来てくれた人たちがいてうれしかったです。投稿が広まるにつれて、新聞やテレビ局の取材が来てくれるようになりました。鉄道のイベントにも参加しました」

椎木さんは年度内まで動画への出演を続ける。卒業後は動画出演を後輩に引き継ぎ、監督として活動に関わる予定だ。