小林奈月さん(21)は、今年4月に神奈川県横浜市の認可保育所「ろぜっと保育園」に就職した保育士1年生だ。小林さんはそこで障がい児保育を担当している。仕事のやりがいなどを聞いた。
(山口佳子)
──保育士を目指したきっかけは?
私の母が保育士だったため、小学1年生の頃から学校が終わったら学童に行かず、保育園に行って母の教え子たちと一緒に遊ぶ生活をしていました。中学生の夏休みには、近所の保育園にボランティアにも通いました。その頃から子どもが大好きだったので、母の影響もあり、保育士以外の将来は考えられませんでした。
──保育士を目指す中で、障がい児保育に興味を持った理由は?
近所の子が、外見では全然わからなかったのですが多動性障がいのようで、専門的に医療や保育を行う「療育センター」に通っていました。親しくしていたので、私が高2の頃、センターのお祭りに行く機会があったんです。実際に行ってみると、重度の障がいを持つ子どももいて、それまでいろいろな子どもとたくさん接してきたつもりだったのに、全く知らない世界に飛び込んだような衝撃を受けました。ただ、その時すぐに、障がい児保育をしよう!と思ったわけではありませんでした。
──それでは、なぜ?
進学先の短大で必修科目として履修した「障がい児保育」の影響が大きいです。先生ご自身も障がいをもつお子さんのお母さんで、専門的な知識だけでなく、愛情をもって話しかければ伝わるといった子どもの気持ちに基づいた実践的なお話もしてくださいました。そのお話を聞いて、高2の時の体験がよみがえり、障がいのある子のために自分がどれくらいできるかを試してみたくなりました。
また、実習で行った療育センターでは、話しかけると反応してくるといった経験もでき、難しいけれどやりがいがある仕事だと、ますます思うようになりました。
──ろぜっと保育園を就職先として選んだ理由は?
障がいのある子もない子も、共に学び生活するという園の方針に魅かれました。
現在この園では、一人の障がい児に対して一人以上の保育士がついています。発育支援等のために午前中は別プログラムですが、お昼寝から昼食、午後の自由遊びからお迎えまで、障がいのある子もない子も同じ教室で生活します。障がいのある子は友だちに助けてもらうことで、いろいろな人を頼っていいのだと学んでいるようですし、障がいのない子もすんなりと受け入れています。こうした環境で育った子は、大きくなっても偏見などを持たずに、人の違いを受け入れられるような気がします。
―─この仕事のやりがいは?
私がマンツーマンで担当しているRちゃんは、受け持った当初は、笑わないし、給食もほとんど食べませんでした。1カ月ほどして4歳児クラスの子どもたちと一緒に公園に行った時、私の方を見てケラケラと笑ってくれたんです。「あ、この子も笑うんだ」と思ったときの感動は、今でも忘れられません。最近は給食もよく食べるようになりました。少しずつですが成長していく姿が見られるのが何よりのやりがいです。まだ力不足で歯がゆい気持ちを持つことも多いのですが、マンツーマンで子どもと向き合えるので、この子のために何かしたいと思う気持ちが強いですね。
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