裁判の傍聴には、原則として誰でも自由に行けることをご存じですか? 私は見学がきっかけで、司法の現場への見方やニュースの捉え方が大きく変わりました。私が行った東京地方裁判所を例に、裁判傍聴についてご紹介します。(高校生記者・桜いをり=2年)
法廷の緊張感にびっくり
私が初めて裁判傍聴に行ったのは、中学2年生の時。大麻取締法違反の案件でした。
ドラマやニュースのイラストでしか見たことのなかった法廷に入った瞬間、その緊張感に驚きました。裁判官、弁護士、検察官、被告人と、簡易な柵で隔てられただけの同じ空間にいる。フィクションではない、一人の人生にかかわる議論が繰り広げられている。その時、自分の生活と地続きの場所に司法の現場があることを実感しました。
誰でも自由に行ける
裁判傍聴には、原則誰でも自由に行くことができ、事前の手続きもいりません。土日祝日、お盆や年末年始以外なら法廷が開いており、毎日何かしらの裁判が開かれています。
東京地裁では、エントランスに開廷予定を検索できる機械があり、そこで傍聴したい裁判を探します。初めての傍聴ならば、「新件」の「刑事裁判」がおすすめです。
裁判内容をメモ
まずは、違法薬物案件や窃盗などの小さな事件を選んでみてください。スマホでの撮影はできないので、メモ帳とペンを用意しておきましょう。
そこで傍聴したい裁判を複数ピックアップし、開廷時間と案件の内容を書きとめておきます。傍聴しながら気づいたことをメモしておくと「裁判傍聴日記」になるので、ぜひ参考にしてください。
着脱しやすい服装で、手荷物はバッグにまとめて
傍聴中にはスマホの電源を切ること。友達と行く際には、会話をしないことに気をつけてください。傍聴席も限られているので、2、3人で行くのがおすすめです。
傍聴の際の服装は、落ち着いた色味で肌の露出の少ないものが良いと思います。空調が効きすぎていることも多いので、脱ぎ着しやすい服装がおすすめです。また、裁判所に入るときには手荷物検査があるので、あらかじめ持ち物はカバンにまとめておくとスムーズです。
「逮捕され安心」ではない
私は裁判傍聴に行くようになってから、事件の報道を裁判まで追うようになりました。容疑者が逮捕されて安心するのではなく、裁判でどのような議論があり、どのような判決が下されたのかなども確認しています。
また、最高裁判所裁判官の「国民審査」にも興味をもつようになりました。18歳になり選挙権を得たら、私たちも参加できる制度です。与えられた権利を無駄にしないためにも、ぜひ一度、司法の現場をのぞいてみてください。百聞は一見に如(し)かず。その経験は、さまざまな場面で生きるはずです。