第46回全国高校総合文化祭(とうきょう総文2022)の将棋部門は、東京都立産業貿易センター浜松町館で8月3日、4日に行われた。各都道府県の代表選手96人がエントリーした「男子個人戦」では、福田旭さん(東京・立教池袋高校2年)が優勝を手にした。(中田宗孝)

冷静さ保ち念願の優勝

男女別の個人戦、男女別の団体戦を同時に実施。静寂の中、熱い対局が繰り広げられた

今大会決勝トーナメントでの1選手の持ち時間は、15分。時間を使い切ると1手30秒未満の秒読みで指すルールで対局が行われた。福田さん(2年)は、「男子個人戦」決勝トーナメントを4戦勝ち抜き、全国の頂に立った。

自身初の全国優勝に喜びをかみしめる福田さん

小中学生のころに全国大会への出場経験はあるが、自己最高位は準優勝。念願の日本一だ。「負けるときは、優勝への強すぎる思いがから回りしていたんです。今大会は、どの対局でも心に余裕があって、冷静さを保ち続けた自分がいた」と、勝因を振り返る。

決勝トーナメントで対局中の福田さん

プロ棋士の勝ち方をチェックして生かす

流れをつかむ一局になったのは、決勝トーナメント2回戦。対戦相手の大谷一仁さん(東京・早稲田高校2年)とは、幼いころから同じ将棋教室に通い、切磋琢磨してきた。「練習や大会で大谷君とは何局も指していて、当然お互いの手の内を知っています。やりづらさはありました」

また、普段は福田さんが大谷さんを指導対局する関係性だという。「対局の序盤は厳しい局面もあったけど、逆転勝ちできた。この勝利で自分のペースにのれました」

対局中に髪をかきあげたり、苦い表情を浮かべる選手がいる中、福田さんは感情を表に一切出さず、次の一手を静かに考える

「多少強引でも攻めていくのが自分の持ち味」だと語る。大きな大会の直前には、棋譜のデータベースでプロの棋士の“勝ち方”を必ずチェックして、自らの対局に活かすイメトレを重ねてきた。今後は大会2連覇を目標に据え、腕を磨き続けていく。

決勝は兵庫・灘高校の選手との対局に勝利