「本に関わる職業」と言われて思いつくのは何ですか? 作家や編集者、記者など、仕事内容は多岐にわたります。では、でき上った本を売る書店員は、どのような仕事をしているのでしょうか。書店員の母にインタビューをしました。(高校生記者・ににか=2年)
本販売のスペシャリスト
―書店員はどんな仕事をしているの?
一言で言うと「本の販売」だけど、新しく入荷した本を店頭に出す作業や、お客さまから本の注文を受ける、その注文を出版社に発注するなど、さまざまなことをしているよ。本のシュリンク(ビニールをかけること)も書店員の仕事なんだ。
―1日の流れを教えて。
出勤したらまず開店作業をするよ。開店作業とは、レジにおつりを補充したり、図書カードの在庫をチェックしたりすること。また、雑誌は本誌と付録が別々に入荷するから、雑誌に付録を付ける作業も書店員がしているんだよ。
開店したら、注文を受ける作業やレジでの接客などを行っているよ。
お客とコミュニケーションをとって本探し
―大変なのはどんなところ?
子どもからお年寄りまで幅広い年齢層のお客さまが来店するから、それぞれのニーズに応える接客をするのが大変かな。それにお客さまの中には、読みたい本の題名を覚えていない人や間違って覚えている人も多くて、お客さまの求める本を探し出すのも難しい。だから、お客さまとのコミュニケーションを通じて一緒に本を探しているんだ。
―向いているのはどんな人?
好奇心旺盛な人。毎日、新しい本がたくさん入荷するから、世の中のいろいろなことに興味を持って、ある程度の知識がある人の方が向いていると言えるね。それに、自分の得意分野がある人や、興味のあることを突き詰めている、いわゆる「ヲタク」の人も向いているね。
なぜなら、本屋には専門的な本がたくさんあるし、お客さまに本の内容を説明することもあるからだよ。そして、お客さまとコミュニケーションを円滑にとれる人も向いているよ。
憧れの作家に会えるかも
―この仕事の魅力は?
いろいろなことに興味がある人が働いているから、刺激があって面白いよ。
そして、知らないお客さまとも本を通じて共通の話題で盛り上がれるのも、魅力だと言えるね。お客さまに本をおすすめすることもあって、おすすめした本を「面白かった」と言ってくれるとすごくうれしいよ。
あとは、時々本の宣伝をしに作家の方が来店することもあるから、憧れの作家の方に会えることもあるかも…!
【取材後記】ワクワクする読書体験を提供する仕事だ
インタビューをして分かったのは、書店員は本を売るだけでなく、付録付けや発注など、非常に多くの仕事をしているということでした。でも、それによって本と関わる機会がとても多い職業です。
近年の電子書籍の普及に伴って、紙の本の需要が減っています。しかし紙の本はなくなってはいけません。本屋でどの本を買うか悩んだり、わくわくしながらページをめくったり、そういう体験から遠ざかってはいけないと感じます。
本が好きな人はもちろん、知識を蓄えたい人、お客さまとのコミュニケーションを楽しみたい人には、書店員という職業が向いていると感じます。ぜひ将来の進路の選択肢の1つにしてみてください。