もうすぐ成人式ですね。みなさんは「着物」にどんな思い出がありますか。私の母は着付け師をしています。仕事内容ややりがいについてインタビューしました。(高校生記者・hana=1年)
着物を華麗に着せてくれるプロ
―着付け師の具体的な仕事内容を教えて。
呉服屋兼フォトスタジオで振り袖、七五三、卒業袴、訪問着、留め袖、浴衣などの販売・レンタル、帯や草履、バッグなどの呉服小物や着付け用小物の販売・レンタルをするよ。
成人式を迎える方や七五三の方の前撮り撮影会を行ったり、ヘアメイク、着付け、スタジオ撮影、ロケーション撮影、お写真選びをしたり、当日の着付けやヘアメイクをするんだ。
―どこで、どんな人たちと仕事しているの?
呉服屋の店舗や写真スタジオで、販売・着付けスタッフやカメラマンさんやヘアメイクさんと一緒に仕事しているよ。
―1日の流れを教えて。
日によって違うから不規則だけど、お客さまと一緒に振り袖、七五三、卒業袴の衣装選びをしたり、写真スタジオで撮影がある日は、お客さまに着付けしたり、カメラマンさんの撮影補助をしたりするよ。成人式当日は、朝3時くらいからたくさんのお客さまに振り袖を着付けするんだ。
その人が求める着物姿に近づける
―この仕事を目指そうと思ったきっかけは?
代々呉服屋を経営する家庭に生まれたから。大学卒業後、普通の企業に就職したけれど、仕事が休みの日に着付けのお仕事をお手伝いするようになって、きれいに着せられて良かったなと感じたのがきっかけかな。
―この仕事をする上での技術は何が必要?
お客さまに着付けする技術。それと、お客さまが希望する着物の柄や色、雰囲気をうかがって、求められている着姿に近づけられるように寄り添うことが大切。
生まれたばかりの赤ちゃんが着るお祝い着から、七五三、成人式、大人の女性が着る訪問着まで、老若男女が利用されるので、それぞれの世代に合わせた話題や気配り、コミュニケーション能力が必要かな。
―着付けの技術をどう身につけたの?
着付け教室に通って認定証をいただいたよ。
人生の節目に立ち会えるのがうれしい
―この仕事のやりがいを感じる瞬間は?
お客さまと選んだ着物をきれいに着せられて、満足がいく笑顔が見られた時。それに、撮影会で家族写真を撮るときには、ご家族のお祝い事、幸せな瞬間に立ち会えることが何よりの喜びかな。
90歳を超えられたおじいさまと孫が、袴を着て一緒に写真を撮ったこともあるよ。三姉妹で、はじめは制服を着て撮影された末っ子の女の子が、20歳になって振り袖で撮影をしたり、ずっとサッカーをしていた女の子がサッカーボールを持って撮影をしたり……。いろんな人の人生の節目に立ち会えるのがうれしいな。
―この仕事の厳しさ、大変なところはどんなところ?
着物というと、美しくて華やかなイメージがあるけれど、実際に着付けするときは、着崩れないように結んだり、立ったり座ったりの繰り返しで、肩、腰にくるよ。
美しい着物文化継承に携わる
―この仕事に向いているのはどんな人?
日本文化に興味がある人や流行に敏感で美的センスがある人かな。あとはたくさんある色の中から、細かな色の違いを見極めて効果的に色のコーディネートができる人。
お客さまの好みや希望に真摯(しんし)に寄り添える人も向いているね。
―この仕事の魅力は何だと思う?
人の幸せに寄り添えること、着物という美しい日本の伝統文化の継承に携われることだと思う。
―この仕事は将来、どんなふうに変わっていくと思う?
今は洋服が一般的には広まっているけれど、今後も節目の時には着物を着る文化は受け継がれていくと思う。着物を着ると動きが制限されるけれど、立ち居振る舞いが美しくなるので、今後も文化として続いてほしいな。
―この仕事を目指す高校生がいまやっておいたほうがよいことは?
着付け教室に通うことやカラーコーディネートを学ぶことは大人になってからもできるから、いろんなことに興味を持って、挑戦してほしいな。おしゃれなことに敏感だと、この仕事に役立つと思うよ。
【取材後記】母みたいにやりがいを感じ仕事する人になりたい
人の幸せを作るという職業はすごくすてきだなと思いました。
高校生は、将来について考える機会が多くあります。私も、自分がどんな人になりたいのか考え、悩むことがあります。高校生は時間が有限で、どんなふうに時間を使うのが正解なのかわかりません。
けれど、母のようにやりがいを感じて、一生懸命お仕事をするような人になりたいです。そのために、たくさんのことに挑戦して自分の将来の道を見つけていきたいです。