私の学校の保健体育の先生は、大学で性教育を専攻していました。日本と海外の性教育事情やLGBTQ+について学ばれたそうです。そこで先生へのインタビューや、先生からもらった資料をもとに、私なりに「性」を考えてみました。(高校生記者・めておーら=2年)

LGBTQ+って、そもそも何?

近年話題となっている「LGBTQ+」とはどのような人々を表すのでしょうか。私は先生にインタビューを行い書いた原稿を渡したら、原稿が赤くなって返ってきました。

私は「LGBTQ+とは『男と女の異性愛が主流となっている世の中で、同性愛の存在を訴える人々』のことです」と書いていました。「どこが間違いなんだ?」と思う人もいるかもしれません。私も思ったし、「じゃあ何?」とも思いました。

そこで、先生がある資料を持ってきてくれました。

ジェンダーブレッドパーソンを参考に作成
  • (1)性自認=自分の性をそのように認識しているのか。心の性
  • (2)性的指向=どういった対象を好きになるか、または好きにならないか。
  • (3)性別表現=服装や言葉遣い、振る舞いで自分が自分の性を社会でどう表現したいか。
  • (4)法律上の性別=性器の形などから医者が身体的な性を判断し、法律上割り当てられる性別

―先生、この資料はどういう意味ですか?

A先生 人間の性(セクシュアリティ)は、性自認、性的指向、性別表現、法律上の性別の組み合わせで表すことができます。例えば、(1)女性と自分を認識していて、(2)異性愛者で(3)女らしい服装をして(4)戸籍上女性……などです。

LGBTQ+は、セクシュアリティの在り方です。「L=レズビアン(心の性が女性で性的指向が女性の人)」、「G=ゲイ(心の性が男性で性的指向が男性の人)」「B=バイセクシャル(性的指向が女性男性両方の人)」、「T=トランスジェンダー(心の性と身体的な性が異なる人)」、「Q=クィア(性的マイノリティーの総称)、クエスチョニング(自分のセクシュアリティ(性のあり方)を自問中の人)」を示しています。

+にはLGBTQ以外にもさまざまなセクシュアリティがあるということを表現しています。

少数派の存在を知ってほしい

以前から、私は先生の授業に少し疑問を持っていました。それはよく男性、女性のことを「自分が男と思われる人」「自分が女と思われる人」と言っているところです。その理由も含めて、先生が話してくださいました。

―なぜわざわざLGBTQ+と区別化、主張する必要があるのですか?

A先生 LGBTQ+の人々もわざわざ区別化せずに自由に過ごしたいと思っていると聞いたことがあります。しかし残念ながら、日本は「マジョリティー(多数派)」の意見が通るようなシステムがほとんどです。

ですから、声を上げて「マイノリティー(少数派)」の存在を訴えることで、皆が同じ権利を持つことを目指しているのです。「男だから」「女だから」ではなく、「自分という人間」、その人の「パーソナリティー(個性、人格)」として見ることを推奨するために主張しています。これは皆さんにも共感しやすいのではないでしょうか。

授業で皆さんにそのように言っているのも、「既存の文脈に内包されにくい存在」がいることを気づき、アクションを起こしてほしいと思っているからです。

良くも悪くも目立った存在に

今日のメディアでは、度々LGBTQ+関連のニュースなどが取り上げられていますが、その方々が本当に伝えたい思いと報道を見た視聴者の思いとに食い違いがあるようで……。

―先生が報道を見て感じることはありますか?

A先生 もちろんLGBTQ+の方々がテレビに出られるのは大変うれしいことですが、「そんな話題やそういう考えが流行しています」というような報道のされ方なのが気になります。

LGBTQ+の人々は異性愛者と比べて下に見られていたこともあり、何十年もかけてようやく対等に並べる存在になりました。ですが、次はメディアのスポットライトによって良くも悪くも目立った存在となってしまいました。思ってもない待遇を受けられて、異性愛者からのアンチが増えるのではないかと不安視しています。

【取材後記】私は何もわかっていなかった

先生へのインタビューを通して痛感したことは、私は何も分かってなかったということです。

授業でも性教育について学んできましたが、執筆を通して世の中の多様性を理解した「つもり」でいただけだ、と思いました。また、新たに時代の変化に伴って性の多様性も変化してきていることも知りました。授業やその他「受け身」で学ぼうとするより、何か気になることを知ろうとする前向きな姿勢、そして行動を起こすことが大切だと思うようになりました。

加えて、メディアやネットニュースが正しい情報を取り上げることの責任の重さも実感できました。私は、これからもネットニュースを書く際にはその人を「思いやる」ことが一番大事という当たり前のことをずっと意識できる人になりたいです。私と一緒に「性の多様性について」あらためて知識を身につけていきませんか?