英国のクアクアレリ・シモンズ(QS)社は2021年11月2日、アジアの大学を独自の指標にもとづいて順位付けした「QSアジア大学ランキング2022」を発表した。日本の大学は108校がランキング入りした。そのうち36校が順位を上げた一方で、65校が順位を落とした。QS社は、「日本の大学は国際競争力の向上が必要」とみている。

上位に東大、京大、東工大など

日本の大学で上位に入ったのは、東京大学(11位)、京都大学(15位)、東京工業大学(21位)、大阪大学(22位)、東北大学(23位)など。私立大学では、早稲田大学(40位)、慶應義塾大学(46位)が上位に入った。ベスト100に入った日本の大学は14校だった。

QSアジア大学ランキングの日本の上位20校

アジア1位はシンガポール国立大

アジアの1位は、4年連続でシンガポール国立大学。2位は北京大学(中国)、3位は香港大学(香港特別行政区)と南洋工科大学(シンガポール)、5位は清華大学(中国)だった。上位20校中、中国本土の大学が5校、香港が4校、韓国が5校を占めた。

日本の大学は人事の評判は良好、研究力は低下

ランキングは、「学術的な評判」「雇用者(企業などの人事担当)からの評判」の調査結果や、教育環境の指標となる「学生あたりの教員数の比率(ST比)」、研究力を示す「教員あたりの論文数」「論文当たりの引用数」などを組み合わせて集計されている。

東大は昨年の15位から順位を上げ、「学術関係者からの評判」「雇用者からの評判」はアジアで1位だった。

日本の大学は、「雇用者からの評判」の上位100位に14校入っており、他国の大学より企業の評価が高い傾向がある。「教員と学生の比率」も、上位100校に30校入っている。一方で、「論文あたりの引用数」で上位100位に入ったのは5校にとどまる。「教員あたりの論文数」は日本の大学の89%が順位を落としており、研究力の減退が浮き彫りになっている。

QS社「日本は勢い減退、十分な研究予算確保を」

QS社の担当者は、「日本の高等教育機関(大学)は、アジア、特に中国の高等教育機関と比べて、勢いが減退している。日本の大学の競争条件を公平にし、十分な研究予算を確保し、主要大学だけでなくすべての大学に対し、資金を最適に配分することが不可欠」とコメントしている。