ブラック企業で働くペンギンが主人公のYouTubeチャンネル「テイコウペンギン」は、「冷凍庫に閉じ込められるとどうなるの?」「刑務所に入るとどうなるの?」など、思わず見たくなるアニメを多数配信しています。こうした人気チャンネルはどのように作られているのでしょうか。プロジェクトマネージャーを務めるまっきーさんに、自身の仕事の内容や、楽しく働くために考えていることを聞きました。(文・竹内優衣、写真は本人提供)

50人が動画制作、1本に最長3カ月かかることも

―「テイコウペンギン」の制作にはどのような職種の方が関わっていますか?

私が勤めている会社「Plott」はテイコウペンギンをはじめ、「混血のカレコレ」などYouTubeでアニメチャンネルを複数運営しています。

会社屋上の休憩スペースでくつろぐまっきーさん

テイコウペンギンに関わっている職種は、企画を作る人や脚本を書くシナリオライター、アニメーションに動きをつけるアニメーターなどがいます。社内メンバーは10人前後、社外のメンバーも含めて全体で30~40人の方に関わっていただいています。

1本の動画に大体1カ月半~2カ月、時には3カ月かかることもあるので、いくつかの作品を並行して進めている感じです。

―まっきーさんはどんなお仕事をしていますか?

チャンネル全体の方向性を考えたり、コンテンツ案の企画を主にしています。シナリオライターなど、クリエイターの方と相談しながらどのような動画を出すのかを考えています。クリエイターの制作進行を管理するマネージャーの仕事や、YouTubeから提供される「視聴回数、総再生時間、チャンネル登録者数、収益、サムネのクリック率、視聴維持率」など「アナリティクス(分析)」を見て数値を分析し、施策を考える戦略立案もやります。

―斬新な切り口で多くのファンを得ていらっしゃいます。企画のアイデアはどのように浮かぶのですか?

普段読んでいる漫画や映画などから影響を受けることもあれば、「ユーザーが楽しんでくれそうだな」「喜びそうだな」と感じる、面白そうなニュースなどを参考にすることもあります。

―まっきーさんがこの仕事に携わったきっかけを聞かせてください。

友人の紹介です。もともとYouTubeが好きというわけではなかったのですが、エンタメなどのコンテンツが好きでした。

もともと私はテレビの制作会社で働いていました。紹介してくれた友人もテレビ業界にいた人で「同じコンテンツが好きだった」という共通点もあり、YouTube業界に飛び込むことになりました。

再生数に一喜一憂…コメントも見てます

―お仕事の大変なところは何ですか?

再生数や視聴維持率がよくないときは、それを示す数字が     本当にすぐ出るので、焦りを感じますね。目の前の数字に一喜一憂すべきではないと頭ではわかっているんですけれど……、焦っちゃうな。

オフィスで作品の進行をチェックするまっきーさん

あとは動画につくコメントですね。全部プラスなコメントだけじゃない。「こういうところ違うんじゃない?」と指摘してくれるコメントもあるので、そうした意見にどう向き合っていくのかを考えていかなければと思っています。

―ということは、視聴者からのコメントや意見は結構ご覧になるのですか?

そうですね。結構見ていますよ!

コメントしていただけるということは、ちゃんと見てくれているユーザーだということ。意見は大事にしていきたいなあと思っています。

温かいユーザーが多くて、モチベーションが上がるようなコメントがいっぱいあります。さっきとは反対で、数字が上がっているときは簡単にやる気がでます。

―ファンに支えられてチャンネル登録者数100万人を突破しましたね。

「100万人」は社内でも待ち望んでいた数字なので、「やっと到達できたな」と感じています。うれしいというのもありつつ、ほっとしたなっていう気持ちもありました。

100万人という数字があることで信頼してくれることもあるので、例えばコラボをしてくれるチャンネルが増えたり、YouTubeの外でのイベントを開催したり、そのような部分でも更に力を入れていきたいです。

根強いファンが多数いるテイコウペンギン

今まではテイコウペンギンを初めて見てくれる人を意識した構成の動画も多かったのですが、今後は今見てくれている人がより楽しんでくれる動画も更に増やしていけたらなあと。より満足してもらえたらと思います。

自分で考えて働くことで仕事を楽しめる

―中高生の中には、「仕事は大変、つらい、自由がない」など、働くことにマイナスなイメージを持っている人もいるようです。まっきーさんのように楽しく働く上で大切にしていることはありますか?

テレビの仕事を辞めて、次の仕事を探すときに大事にしていたことが「自分の頭で考えて、好きなように、遊ぶように働く」ことでした。

……まあ、好きなように、遊ぶようにって言ったら語弊があるかもしれないですけれど……。人に言われて「やらされること」は、どんな仕事でも最初は楽しめてもだんだん面倒になっていくような気がしていて。やっぱり「自分で考えていろいろできる」ことが成長にもつながるし、楽しくなっていくのかな。

「自分の頭で考えて働く」ことは楽しんで働くために意識していることかもしれませんね。

―将来、クリエイターやYouTubeに関わる仕事がしたい高校生に向けて、一歩踏み出すきっかけになるようなメッセージをお願いします。

ひとつのクリエイティブ(=ものを作り出す行為)に関して、「自分は何が得意なんだろう?」と探したい人は、YouTubeという媒体はすごく向いているのかなと思いましたね。

クリエイティブの世界は、「0から1を生み出す」全く新しいものを作ることが好きな人もいれば、既存のものを発展させる「1を10にする」のが得意な人もいます。イラストを描くのが得意な人もいれば、映像を作るのが好きな人もいて、いろんな関わり方、表現方法があると思っています。

―この世界に憧れていても「自分には作る才能がないかも……」という人は、クリエイターに向いていませんよね?

必ずしも自分が何か生み出せなくても、創作活動へいろいろな関わり方があります。興味があったらやってみてほしいと思いました。

例えば、YouTubeは「アナリティクス」を見ることができるので、数字から何が起きているか読み解く「分析」が得意な人も絶対に必要。分析して、「次こういうことをやった方がいい」などと考えられる人も含めて「クリエイター」なんじゃないかなあ。

例えばテレビだとそもそも制作に関わること自体が難しいし、時間がかかりすぎることがあります。YouTubeは「作っては出して、作っては出して」とスピード感を持って繰り返しできます。自分の頭で考えてとにかく「なんかやってみる」場としてYouTubeを利用してみてもいいのではないでしょうか。