高校生に人気の高い保育者(幼稚園教諭、保育士の総称)の仕事。子どもと関わる幼稚園教諭と保育士の仕事について、幼稚園教諭、子ども園園長の経験があり、現在は保育者養成校で教鞭をとる鈴木晶子先生に幼稚園教諭・保育士の仕事をさまざまな角度から聞いてみた。

 

――幼稚園教諭・保育士の仕事の違いはありますか?

そもそも幼稚園は就学前の教育を目的として預けるところで文部科学省の管轄、一方、保育園は保護者が仕事や病気などで十分な保育ができない家庭の子どもを預かる児童福祉施設で厚生労働省の管轄です。

最近では、幼稚園と保育園の機能を一体化させた「認定こども園」など内閣府が管轄する施設も増えてきています。

また、預かる時間にも違いがあります。幼稚園は午前中から14:00頃までが基本で、家庭と幼稚園とが二人三脚で一緒に子育てをしていこうという雰囲気があります。そのため、行事なども多く、保護者との関わりも深い印象です。

保育園は園にもよりますが、基本8時間以上預かる園が多く、子どもの保育全般を担うため、給食やお昼寝なども含め、一日の大半を子どもと一緒に過ごすことが大きな違いです。

このような違いはありますが、幼稚園教諭も保育士も仕事内容は基本的にはほぼ同じです。どちらも遊びを通じた学びで、子どもの成長を促します。

 

 

――どんなときにやりがいを感じますか?

なんといっても、一番は子どもの成長過程をそばで見守れることです。子どもの成長過程は千差万別なので「同じ」がなく毎日が発見の連続です。

例えば、ケガをした子に絆創膏を持ってきてくれるなんていうちょっとした行動も、幼児特有の自分中心から人のために働きかけられるようになったという成長の証。そういった姿を見るとうれしくなります。

保育士の場合、0歳児を預かることもありますので、「初めて歩く」「初めて話す」といった子どもの「初めて」の感動シーンに遭遇することも多々あります。ただし、「初めて」の感動は保護者にも味わっていただきたいので「見なかったふり」をするという暗黙のルールが存在するとかしないとか。

幼稚園教諭であれ、保育士であれ、どちらもやりがいに大きな差はないと思います。多くの子どもの無限の可能性を広げる魅力的な仕事です。

 

――幼稚園教諭・保育士に向いているのはどんな人ですか?

子どもが好きということは大前提。そのうえで、子どもたちが主体的に過ごせるように「見守ることができる人」が向いているといえるでしょう。

逆に、先生気質でいろいろ教えたくなる傾向のある人は、子どもたちを思い通りにさせたくなりがちなので気をつけなくてはなりません。

また、子どもの成長をおもしろがり、その成長にうれし泣きできる人も向いていると思います。

例えば、ザリガニを持って帰るとき、履いていた長靴に水を入れ、その中にザリガニを入れて持って帰ってくる子どもがいたとします。「なんでそんなことするの!」ではなく、「おもしろい!そんな発想もあるんだね」と言える人は保育者に向いているかもしれませんね。

保育者の仕事は、子どもたちが自分の人生を自分で築けるよう、その土台を作るお手伝いをしているということを心にとめておく必要があります。

また、最近は男性の保育者も増えています。この仕事は、絵が得意、ピアノが弾けるといったイメージもありますが、男女関係なく、工作や裁縫、ピアノが苦手でも問題ありません。

その分、外遊びが得意など、それぞれの得意分野を生かしてほしいと思います。楽観的でありながら、責任感をしっかりもっている人が、子どもにとってのいい保育者だと思います。

 

鈴木晶子 すずき・あきこ 幼稚園教諭、子ども園園長を経て、現在は保育者養成校の短大・専門学校で教鞭をとる。現場での経験から、保育者のストレスケアの研究も行い、保育者を対象としたヨガ教室「Yoga Laboratory ~ 先生達のセルフケア研究会 ~」の立ち上げも行う。保育園・保育士支援雑誌「MiRAKUU(ミラクウ)」のWEBでコラムの連載を担当。

 

★「MiRAKUU」とは

「MiRAKUU」とは、未来+保育+LIKE(好き)を表す言葉で、保育の仕事が大好きな人財を増やし、保育の未来をより良い環境にしていくことを目的とした、保育園・保育士支援雑誌。首都圏にある保育園・幼稚園・保育科のある大学で配付。

・保育士・学生向けサイト:MiRAKUU

・園の施設長向けサイト:MiRAKUUぷれみあむ