『どうぞ愛をお叫びください』は男子高校生4人が人気YouTuberを目指して奮闘していく物語です。オススメの小説を高校生記者のかい君に紹介してもらいました。
ゲーム実況のYouTuber目指す男子高校生が主人公
『どうぞ愛をお叫びください』武田綾乃著(新潮社、1350円=税抜)
青春小説の中でも「YouTuber」というジャンルは初めて読んだので、とても現代風で新鮮な感じがしました。
物語中で、主人公を含む高校生4人は「ゲーム実況」を配信していきます。
ゲーム実況とは、プレイヤーが実況をしながらゲームをプレイし、その模様をYouTubeなどで配信することです。
最初はバラバラだった4人が1つのゲームという媒体を通して関係が深まっていく姿に、ゲームの力を感じました。
何かと大人たちからは白い目で見られてしまうゲーム。そんな大人たちにこそ、この小説を読んで、現代の子どもたちにとって「ゲームは十分コミュニケーションツールになり得るのだ」ということを感じてもらいたいです。
ネットの「発信者が実在する」と意識できる
また、この本を通して僕は、とても身近にあるインターネットとの関わりについて深く考えるようになりました。
普段、僕はインターネットの中で情報の受け手として利用することが多いです。自分と同年代のこの主人公たちは、情報の発信者としてインターネットを利用していく中で「アンチ」や「作品の方向性」などさまざまな面で葛藤します。
そんな主人公たちを見ているうちに、自分がインターネットで情報を得る裏には「必ず発信している人が実在する」のだと意識するようになりました。
ネットとの関わり方を見直せるきっかけに
最近、高校生などでもSNS等でトラブルを抱えたり傷ついたりする人が多いと聞きます。今、インターネットとの関わり方に悩んでいる人や少し考え直してみたい人は、そんな視点で読むと新たな発見も多いと思うのでオススメです。
そうでなくても、男子高校生たちの熱い青春を感じたい人、疾走感のある小説を探している人など、たくさんの人に薦められる1冊です。ぜひ、機会があれば読んでみてください。(高校生記者・かい=2年)