5月5日、東京・早稲田大学高等学院の中央幹事会(生徒会)が主催する「招待討論会」が、早稲田大学(東京)で開かれた。多くの学校から高校生180 人が参加し、学校生活や社会問題など多彩なテーマを話し合った。

さまざまな価値観を持った高校生同士が語り合うことで、互いの視野を広げることが目的だ。参加者は約10人ずつ、18グループに分かれ、小討論を実施。「結婚って?」「実行力」といったグループごとのテーマと、共通議題「昨日の自分に満足しているか?」について話し合った。

私が参加したグループのテーマは「日本について考える」だった。日本の良いところと悪いところ、これから日本人はどうあるべきかを話し合った。

メンバー同士で情報を出し合い、多様な視点から問題点や解決方法を話し合った結果、「改善のポイントは教育にある」という結論に行きついた。子どもたちが受け身から自発へと転換し、また、多様な意見を受け入れることや積極的に発信することを学ぶために、小学校から少人数の討論を増やすという提案をまとめた。このグループは、「討論」という固いイメージとは全く異なり、和やかで明るい雰囲気の中、意見を出し合うことができた。終わるころには、みんな仲良しになっていた。小討論終了後は、参加者全員が集まり、各グループの討論内容を報告した。

 

生徒が運営するこの討論会は十数年前から続く。早稲田大学高等学院幹事長の木村直登さん(3年)によると、今年はSNSを使って宣伝を強化し、他グループの討論内容を共有しやすいよう、小討論の結果を模造紙にまとめるなど改善を図った。木村さんは「参加者は、討論会での経験を周りの人に話してほしい」と語った。

私自身、初めて討論会というものに参加した。初めは不安だったが、意見を戦わせるというよりも、互いを認め合って新鮮な意見を受け入れ、グループの考えをまとめていく楽しさを知ることができた。問題の解決策を作り上げる過程が、とても重要だと気付くことができた。 (舛田桃香)

僕は18の議題の中から「資本主義の限界を探る」という議題を選び、討論に参加した。 討論のテーマになった「限界」とは「資本主義社会」という社会形態ではなく、現在の社会に対して感じる限界のこと。「企業の努力の方向と社会の需要がかみ合っていない」。グループの参加者12人の意見は、この一言にまとまった。

「モノをつくり、モノを買う」。こんな単純な表現で済んでしまうほど経済活動の原理は簡単なのに、なぜ私たちは限界を感じるのか、また、物が売れず景気が低迷するのか。この背景には、東日本大震災があると私たちは考えた。私たちは、物質そのものをありがたがるのではなく、モノやサービスを通じて精神的な充足を得ることこそが肝要と考えた。そしてその傾向の最も強い被災地に社会の「限界」を破る突破口があり、そこで新たにビジネスを展開するには、NPOとして奉仕活動を行いながらマーケティングを行うのが有効だと結論づけた。 (山崎璃久)