共働き世代が増えて、保育士や保育園の需要はますます高まっています。保育士と聞くと保育園に勤めているイメージが強いですが、実は保育園以外の場所でも働く場があります。今回は、「親子教室」で保育士として働く母に、仕事内容についてインタビューしました。(高校生記者・ももすいか=3年)
しんどい子育てをするママをサポート
―具体的な仕事の内容を教えて!
発達がゆっくりな子どもや、子育てがしんどい親のための親子教室の保育士をしているよ。
自治体の施設内で、保育士、看護師、保健師が協力しながらお仕事をするの。一日の流れは、打ち合わせをしてから親子教室を行って、掃除・消毒をして記録、次の教室の準備という流れだよ。
―親子教室って何をするの?
いろんなことをするよ! 例えば、絵本を読んだり、ホールでジャングルジムや滑り台、ボールプールで遊んだり。朝は歌を歌ったり、お茶をしたり。お昼ご飯やお昼寝などもするよ。
子や親に寄り添って適切に支援する
―この仕事を目指した時期と、目指そうと思ったきっかけは?
やっぱり子どもが好きだから。
勤めていた保育園で自閉症スペクトラムの子の担当についたときに、どうしていいか全く分からなくなってしまったことがあって……先輩保育士にアドバイスをもらったときに教室の存在を知って、勉強したいと思い、今の仕事に就いたんだ。
―この仕事をする上で何が必要?
子どもや親に寄り添う気持ち、その子や親に合った支援をし、状況把握や臨機応変に対応ができることかな。
悩んだ時は実際の仕事現場で先輩保育士の行動を見たり、アドバイスをもらったりしてるよ。
親子の表情が明るくなると嬉しい
―やりがいを感じる瞬間は?
子どものうれしい表情を見たり、成長を感じたりしたときかな。親から教室に来てよかったという言葉を聞いたり、親が元気で明るくなった様子を見たときにもうれしいと感じるよ。
私が勤めている教室は、視線が合わない、感情表現が少ない、言葉が出ない子どもが多くいらっしゃるの。さらに教室初日は緊張しているので、子どもは固まるか泣くか、母親も硬い表情なんだ。
教室参加を重ねていき活動する中で、視線が合い、笑い、声を出したりするのを、自分に対してしてくれたときに、本当にうれしく思ったな。
―この仕事の厳しさや、大変なところは?
その子や親に合った支援の方法が一人一人違って、難しい。保育をしていても反応がなかったり、嫌がったりすることが多いの。
親にかける言葉も難しい。いろんなものを抱えている人が多いから、思ってもいない言葉で傷ついたり、落ち込んだりする場合がある。
柔軟な対応力、前向きな人に向いてる
―保育士に向いている人と、仕事の魅力を教えて。
おおらかで優しい人、いろいろなことにアンテナを張れて柔軟に対応できる人、元気で前向きな人が向いていると思うよ。
魅力は、親子の成長に携わり、その成長を一緒に感じ、体感していけること。
―この仕事は将来、どうなっていくと思う?
より一層求められる職種になると思う。
全ての自治体に同じ形としてあるわけではないと思う。このような形態の教室や保育士の必要性は高まっていくのでは。
―保育士を目指す高校生がやっておいたほうがよいことは?
いろんな人と接すること。いろんな人と話をしたり、過ごしたりする中で、さまざまなことを考え、体験したことを身につけていく。多様性や価値観の違いに触れることが大事だと思うよ。
【取材後記】機械化されない「人」が必要な仕事
ここまで詳しく母の仕事を聞く機会は今までありませんでした。
保育士といえば、保育園の先生というイメージ。ですが、母のように親子教室の先生として働いている人もいるんだと知ることができました。
10年後にはなくなる仕事、機械やAIに変化する仕事など、技術の発展によって変化していくと言われています。教育に関する仕事は、人が人に寄り添って成り立っているのだなと改めて感じることができました。そして、今後も機械ではなくて「人」が必要とされる仕事だと思いました。
私も人に寄り添える仕事や、人と関わり合える仕事につきたいと思いました!