3月に日本武道館(東京)で行われた全国高校柔道選手権で、白鷗大学足利高校(栃木)柔道部男子は優勝候補を次々と撃破。これまでベスト8が最高だった栃木県勢に初めて銀メダルをもたらした。(文・写真 小野哲史)

大型布陣でチャンス狙う

これまでベスト8が最高だった栃木県勢としては初の決勝進出を果たした白鷗大足利。 100キロ級5人という大型布陣で快進撃を見せた。

昨年のインターハイは2回戦敗退。新チームは厳しい練習に励み、朱雀杯と水田杯で優勝、松尾杯で準優勝と冬の主要大会で結果を残し、大きな自信をつけていた。

今大会は登録メンバーの6人中5人が100キロ級以上という全国屈指の大型布陣を形成。同校を優勝候補に挙げる関係者も少なくなかった 。

好成績も悔しさに涙

初戦から実力校が立ちはだかり、楽な戦いは一度もなかった。それでも当時1年生で大将に入った太田彪雅君(2年)が、準決勝・国士舘高校(東京)戦までの4試合すべてで勝利し、チームを決勝へと導いた。

「先輩たちが良い状況で自分に回してくれたので、とてもやりやすかった」と太田君。実兄の太田竜聖君(3年)ら上級生の頑張りに感謝しつつも、昨夏の世界カデ選手権大会王者の実力を存分に見せつけた。

決勝で修徳高校(東京)に敗れはしたが、チームは大健闘の準優勝。しかし、山中勇希君(3年)は「優勝しか考えていなかったので悔しい」と肩を落とした。「あの子たちが泣いたのを初めて見ました。でも、故障者がいたりと万全ではない中でも、やれるという手応えはつかめました。インターハイで修徳を破りたいですね」と蓬田正郎監督。次なる戦いは、すでに始まっている。

大会時は1年生ながら大将を務め、大会の優秀選手にも選ばれた太田彪雅君