オススメの小説を高校生記者のざわさんに紹介してもらいました。
都会育ちの教師が田舎暮らしに奮闘
『グリーン・グリーン』あさのあつこ著(徳間文庫、680円=価格は1巻、税抜)
学校が再開して、制服を着る回数がぐっと増えました。久しぶりの学校に、わくわくしている人がいる反面、不安でたまらない人もいるのではないでしょうか。そんなときに読んでもらいたいのが『グリーン・グリーン』です。
失恋したときに食べたおにぎりの味が忘れられず、その米の産地にある農業高校の教師となった、都会育ちの翠川真緑(通称グリーングリーン)。農業の知識が何もなく、不慣れな田舎での生活により、たくさんの問題が起きます。
そんな中でも、それぞれに悩みを抱える生徒たちや個性あふれる教師たちに助けられながら、いろいろな刺激を受け成長していきます。
「みんな悩みを持ってる」私も頑張ろうと思える
私は作者、あさのあつこさんが描く、どこまでもまっすぐな高校生たちの姿に魅了されました。誰にも言えないような悩みを抱えながら、前に進んでいこうとする生徒たちを想像すると、憧れの人も、いつも笑っている人も、きっとみんなそれぞれ悩みを抱えているんだと改めて気づかされます。そして、私も頑張ろうと思えます。
方言を交えた歯切れのよい会話も、この本をおすすめする理由の一つです。先生と生徒たちの会話は、思わず吹き出してしまうほど面白いけれど、どこか真剣で温かいのです。
会話をするのは、人間だけではありません。真緑は201号と呼ばれる豚が、会話をする能力を持っていることに気づきます。彼女と1頭の豚とのユーモラスな会話にも注目してください。
豊かな自然に囲まれ、甘酸っぱい恋をして、夢を持ちながら過ごす生徒たちの日常を読むと、あっという間の高校生活を大切にしなくてはと、強く感じさせられます。
ぜひ、読んでみてください。(高校生記者・ざわ=2年)