後半2トライを決めた東海大仰星のWTB中孝祐(3年)

第95回全国高校ラグビー大会の決勝が1月11日、花園ラグビー場(大阪)で行われた。東海大仰星(大阪第1)が桐蔭学園(神奈川)を37-31で破り、2年ぶり4度目の優勝を飾るとともに、春の選抜大会、夏の7人制大会を合わせた「高校3冠」を達成した。3冠は昨年度の東福岡に続いて史上2校目。
(文・写真 斉藤健仁)

体の小ささを克服

両校は2年前も決勝で対戦し、東海大仰星が19-14の接戦で勝利しており、今回も熱戦が予想された。前半、東海大仰星が先制したが、相手にゲームを支配されて2トライを許し12-17と逆転されてしまう。だが、前半終了間際にFL真野泰地主将(3年)が力強い同点トライを決めた。

 真野は身長172センチと、決して大柄ではない。試合後、「昨年度、東福岡に負けた試合で、戦略や戦術を考えても、1対1の勝負で上回らないと勝てないことが分かった。1対1、細かい部分にこだわりを持ってやってきた」と胸を張った。今の3年生は体が小さく、決して期待された世代ではなかった。1年時から居残りでウエートトレーニングに取り組み、今年度になってからは毎日、どこかの部位の筋力トレーニングを行い、個の強化に努めた成果が出た。

選手が話し合い戦略変更

後半の修正力も光った。ハーフタイムに選手たちが話し合い、戦略を変更。相手がボールを継続してきたため、逆にボールを渡さないように自分たちもボールを継続して攻撃。さらにディフェンスでは、前に出てプレッシャーを与え続けて相手の出足を止め、点差を広げた。「考えるラグビーが東海大仰星の文化です」と湯浅大智監督は言う。

 表彰式で真野は「全員ラグビーができた」と涙を流した。

TEAM DATA 
 1984年創部。部員107人(3年生33人、2年生38人、1年生36人)。全国高校選抜大会優勝2度。主なOBに元日本代表の大畑大介、吉田朋生(東芝)、木津武士、山中亮平(ともに神戸製鋼)ら。