決勝は終盤で抑え込みに持ち込み、初優勝を手にした太田彪雅

全国高校柔道選手権の男子無差別級を制したのは、太田彪雅(ひょうが)(栃木・白鴎大足利3年)。決勝は技ありを取られる苦しい展開だったが、終盤で有効を奪い、残り1秒で逆転の一本を決めた。
(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

必ず取り返す

次々と有力選手が敗れていく中、太田は順当に準々決勝までの全3試合を一本勝ち。準決勝も有効で勝利した。

しかし、昨年の全国高校総体(インターハイ)100キロ級3位の石川竜多(茨城・水戸工3年)との決勝は、立ち上がりに技ありを取られてしまう。「不用意に行ったところを相手に合わされてしまった」

「少し動揺したけれど、必ず取り返す」と強い気持ちで終盤に有効を奪うと、そこから横四方固めにつなげて勝負あり。残り1秒での逆転の一本だった。

東京五輪も視野に

昨年の同大会は個人戦で3位、エースとして臨んだ団体戦も準優勝に終わり、頂点にはあと一歩届かなかった。しかし、夏以降に体重を約5キロ増量したことでパワーが増し、技の切れも磨かれた。試合後は「どうしても欲しいタイトルだったので勝ててうれしい」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

蓬田正郎監督は「ああいう厳しい試合に勝てたことで自信になっただろうし、寝技の重要性などをあらためて学ぶことができたはず」と語り、さらなる成長に期待を寄せる。

チームのキャプテンに就任した今年度、次なる目標は昨年ベスト8(個人)に終わったインターハイだ。「全ての試合を一本で制したい。それに10月末の世界ジュニアも勝ちたいし、できれば東京五輪にも出場したい」

太田の胸の内は、大きな野心が激しく燃えている。

おおた・ひょうが 1997年12月9日生まれ、栃木県出身。足利一中卒。兄の影響で小学2年から競技を始め、全国小学生学年別大会、全国中学校大会で優勝。2013年の世界カデ選手権でも金メダルを獲得した。得意技は内股。179センチ、116キロ。