「小倉百人一首競技かるた 第41回全国高校選手権大会」(全日本かるた協会など主催)の個人戦が7月21日、近江神宮・近江勧学館(滋賀)などで行われた。自見壮二朗君(福岡高校3年)がA級(四段以上)の部で、昨年に続き優勝した。2連覇は23年ぶりの快挙だ。(文・写真 木和田志乃)

手の動きの速さが卓越

表彰状を持つ自見君

決勝は齋藤玄志君(群馬・東京農業大学第二高校3年)との対戦となった。自見君は「高校の個人戦も最後なので思い切ってやるだけ」と臨んだ。「相手はよく知っている強い選手。後半勝負になるだろうと分かっていた」

序盤から中盤にかけては一進一退の攻防が続いたが、残りが互いに8枚になったところから自見君が連続して自陣の札を減らし、一気に優勝を決めた。「なかなかギアが上がらずに苦しみましたが、最後は出札も味方してくれた」

齋藤君は「僕らの年代を引っ張り、レベルを上げてくれているのが自見君。手の動きが速く、しかも手が低い位置で動くことに特徴がある。札を取ったと思っても自分の手の下に自見君の手があったことが何度もある」と自見君の強さを説明する。

落ち着いた試合運びが強み

決勝戦を前に札を並べる自見君

3月の全国選抜かるた大会で、3位に入るなど、大人が相手の一般の大会でも実績を残している自見君。強くなるために「試合をして慣れることが必要」と話す。「ふだんの練習は試合形式の練習がほとんど。しすぎるのも体を痛めるので、多い時でも1カ月に40試合程度です」

4歳からかるたを始めた自見君は「長い間やっているので、他の高校生より落ち着いた試合運びができていると思う。競っていても焦らない。今日もなんだかんだ言って落ち着いてできた」と振り返る。

練習でも一切手を抜かない

決勝戦直前、齋藤君と「決勝、2人でできて幸せだね」などと話したという

札を取る速さは「まだまだ磨ける」と考えている。すべての札を取れるよう、競技レベルに差のある相手との練習でも一切手を抜かず、早く札を取ることを心がけている。技術的な弱点はまだまだあると言うが「秘密にしておきます」。今大会では1日に6試合をこなした。

「普段は大人が相手のことが多いんですけど、今回は全員高校生で、年下もいました。僕が言うのも変ですが、若くて力強い相手が多く、思ったよりきつかった」と体力の強化も課題に挙げる。「かるたは老若男女に関わらずできるのが魅力の一つです。ずっと続けていきたい」