運動部の試合では、仲間の勝利を祈り、全力で応援する千葉涼介君

千葉涼介君(3年)は、県立川越高校(埼玉)応援部を団長としてまとめている。「学校生活から生徒の模範として行動する先輩団員の姿に憧れ、入部しました」

「誰よりも頑張る」

部では、運動部の試合応援や地元で演技披露を行っている。校舎の屋上で週4回の練習に励む。夏の暑さ、冬の寒さを体感する環境に身を置き、団員は自らの体と精神を鍛え上げる。声出しや体力づくりなどを通して、応援にもっとも大切な「強い気持ち」を養う。「応援するからには、団員たちは誰よりも頑張らないといけない。団員の気持ちが一つにならないとその声は相手に届きません」

屋上で鍛錬にのぞむ団員達

上級生団員が指導にあたり、後輩団員たちに「苦しくても踏ん張れ!」「昨日より成長してるぞ!」と、熱く励ます。「入部当初は練習についていくのがやっと」と話す千葉君も「お前が頑張るなら俺もやる」と、後輩団員と同じ練習メニューを黙々とこなし、応援に必要な気構えを態度で伝える。

真剣なまなざしで練習を続ける

校外での演技披露は年4回ほど。代々受け継ぐ応援歌や校歌を歌う。旗手長が畳10畳分の大団旗を片腕で振り回す様子に歓声が上がり、「『圧巻だった』と声をいただきます」と千葉君。「学校内だけでなく、自分たちは温かい方が多い川越の街全体を応援する気持ちでいます」

「応援部の勝負どころ。正念場」と話すのは、野球部やサッカー部などの運動部が出場する大会での応援だ。長ランを着た応援部は、味方の勝利を祈り、観客席から声を張りあげる。「試合では味方がピンチになる瞬間がある。そんな時こそ応援部の真価が問われる。自分も最後まで勝利をあきらめずに応援します」

何事もあきらめない

いさましく応援をする千葉君

何事にもあきらめない姿勢は、千葉君自身も部の活動の中で培ったという。「入部前は、つい楽な道を選ぶこともありました。そんな自分はもういません」

点数を決めた選手が応援部の方を見てガッツポーズしたり、試合後に運動部員から「応援ありがとう」と労いの言葉を掛けられたりする瞬間が「何より嬉しい」。

千葉君は、団長としての心得を語る。「川高生全員に笑顔と元気を与えられる存在でありたい。今後も川越高校がさらに盛りあがるよう、応援を送り続けていきます」

県立川越高校応援団のメンバー(学校提供)

(文・写真 中田宗孝)