実写映画化した小説 神奈川・横須賀学院高校図書委員会のおススメ
図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1)
有川浩著(角川文庫、667円)
◆愛するもののために
行き過ぎた検閲から本を守るための組織に入隊した笠原郁が、一人前の隊員として成長していく物語。彼女の本への愛情の強さや、人一倍努力して戦う姿に元気をもらえる。また、彼女の上官と繰り広げる、じれったい恋愛模様に笑いつつもキュンとできるところも魅力の一つだ。そして、物語全体を通して、人間同士の絆や仲間の大切さを考えさせてくれるので、最後まで読んでほしい。(川井萌さん・2年)
悪の教典
貴志祐介著(文春文庫、750円)
◆一切慈悲のない狂気
蓮実聖司は人当たりが良く生徒からも教員からも人気のある、理想の高校教師。だが、彼の真の姿は、生きるために人を殺すサイコキラーだった。蓮実が良心のかけらもなく無慈悲に殺戮りくしていく場面は、恐ろしいながらも爽快感すらあり、不謹慎だがかっこいい。そう感じてしまう自分の中に、純粋な心と道徳心とが共存している意味を考えさせられた。(牧野想こころさん・2年)
舟を編む
三浦しをん著(光文社文庫、620円)
◆これであなたも辞書好きに
辞書作りに奮闘する、辞書編集部の馬締光也たちの話だ。私は幼いころから辞書が好き。何でも載っている魔法の本だと思っていたが、多くの人々によって考え抜かれ作られていることに衝撃を受けた。言葉の解説、字体、紙の質感など、辞書を使う人に対して心を砕いている人たちがいることなど、考えたこともなかった。読後はきっと、辞書に親しみといとしさを抱くだろう。(P.N 我広辞苑を愛す・3年)
犬と私の10の約束
川口晴著(文春文庫、610円)
◆忘れている大切なもの
主人公のあかりは、犬との10の約束を守ることを条件に、子犬のソックスを飼うことを母に許してもらう。ソックスはその行動で、家庭を顧みなかった父と、意地っ張りなあかりのギクシャクした関係を変えていく。ソックスのかわいらしい行動に、読んでいてとても癒やされる。10の約束を通して、普段は忘れている大切なことをもう一度思い出すきっかけになる本だ。(P.N お鈴・3年)
氷菓
米澤穂信著(角川文庫、520円)
◆日常に潜むミステリ
高校生・折木奉太郎は姉の願いにより、半ば強制的に古典部に入部。日常のさまざまな謎を解決することになる。思春期ならではの悩みや恋愛など、共感できるところがたくさんある。また、王道ミステリに飽きた人、人間関係に悩みがある人にも読んでもらいたい。そして、ぜひ古典部メンバーと共に謎を解き明かしてみてほしい。(P.N 黒山羊・3年)
風が強く吹いている
三浦しをん著(新潮文庫、890円)
◆絆と青春の再認識
高校時代、陸上強豪校に所属していたカケルは、ひょんな事から学生寮・通称アオタケに入寮。カケルをアオタケに誘ったハイジは、大半が陸上未経験者である寮の住人10人で箱根駅伝を目指す事を宣言する。駅伝の練習をする中で、チームメイト同士が衝突し合っていくうちに育まれていく絆が魅力だ。強いという言葉の、本当の意味を教えてくれる。青春や絆を再認識したい人に読んでほしい。(P.N 文柳青葉・3年)
疾風ロンド
東野圭吾著(実業之日本社文庫、648円)
◆予想外続きのミステリー
とあるスキー場に生物兵器を埋めた犯人が死んでしまうシーンから始まる。そして、主人公は兵器の在りかを探し出して、回収するために奮闘する。そんな中で起こるさまざまな予想外の出来事や、個性豊かな登場人物たちの絡みは読み応え抜群だ。特におすすめできるのは、物語全体を通してのスキーの描写だ。スキーの疾走感と物語の展開の速さがとてもマッチしており、より緊迫感や爽快感が楽しめる。ぜひ一度読んでいただきたい。(P.N M.K・2年)