「ビスマス結晶の形と構造色」と題した研究を3月の関東近県SSH合同発表会で発表した2人

 

齋藤寧音さんと保積涼香さんは2年生だった昨年度、「『魅せる』化学に挑戦しよう」と意気投合、SSHの研究テーマとして、大きくて美しい色のビスマス結晶を作ることに決めた。

金属元素の一つであるビスマスの地金を熱して溶かし、冷やしながら作るのがビスマス結晶だ。幾何学的な形で虹色に輝くため、オブジェなどとして人気がある。

保積さんは「最初はインターネットで調べ、溶かしたビスマスをピンセットで取り出してみたが、大きな結晶にならなかった」と振り返る。試行錯誤を重ね、ビスマスを溶かす時に差し込んだステンレス棒を冷却中に引き抜くと、大きな結晶が棒に付いてくることが分かり、今回の研究ではこの方法を採用した。

ベストタイミング見つけた

まず、液体が凝固点以下の温度になっても固まらない「過冷却」の間にビスマス結晶が生成されると仮説を立て、温度を測りながら実験を繰り返した。その結果、より大きなビスマス結晶を得られるタイミングは、過冷却中の最低温度を過ぎた直後だということを発見した。

さらに、結晶表面に酸素ボンベの酸素を吹き付けると、酸素濃度が高いほどビスマス結晶の色彩が鮮やかになることも確認した。齋藤さんは「色の鮮やかさを比較する方法を考えたり、結晶表面を顕微鏡で確認するなど、さらに研究を進めたい」と話す。(文・写真 山口佳子)