アジア大会本番前、練習に励む伊佐(学校提供)

2020年東京五輪の新種目に決まったスケートボード。伊佐風椰(神奈川・相模女子大高2年)は、日本トップレベルのスケートボーダーとして国内外の大会に参戦している。

滑る姿に憧れて

スケートボードとの出会いは6歳の時。愛犬の散歩中、自宅近くにできたスケートパークで滑っている人たちを見て「かっこいい!」と憧れた。競技キャリアは10年を超えたが、専任の指導者はずっといない。当初はパークの先輩ボーダーたちに教えてもらって技を覚え、「今は独学。たまに姉にアドバイスをもらいますが、ひたすら滑って技を磨いている」。かつて自分がしてもらったように、小学生に教える機会も増えたという。平日の練習は、学校から帰宅後の夜3時間ほど。休日は遠征し、他のパークで練習することが多い。

けがに負けず

けがは日常茶飯事。昨年9月には「練習で顔面から落ちて前歯2本と肩の骨を折る」という大けがを負った。苦手な障害物だったこともあり、これまで以上に恐怖心が生まれたが、「やるしかない」という持ち前のポジティブ思考で少しずつ恐怖心を克服していった。「できなかった技ができるようになるのがうれしい」

昨年からは本場米国の大会にも出場し経験を重ね、今年8月には初の日本代表としてジャカルタ(インドネシア)で開かれたアジア大会で2つの銀メダルを獲得。得意のストリートは「優勝を狙っていたので悔しかった」が、パークは「思った以上の結果だったのでうれしかった」と振り返る。海外遠征では得意科目の英語が生きることを実感した。「世界の選手と友達になれた」こともスケートボードを通して得られた財産だ。

2年後の東京五輪は目標ではあるが、「もっとレベルを上げていかないと、今のままでは全然通用しない」と話す。自身の立ち位置を常に冷静に捉える伊佐は、まずは10月下旬から参戦するロサンゼルスとカリフォルニアの大会で、今できる精いっぱいの滑りを披露することしか考えていない。(小野哲史)

スケートボード競技とは…
「パーク」と「ストリート」の2種目があり、いずれも難易度やスピード、オリジナリティーなどを採点で総合的に評価する。パークはおわん型のボールや深皿型のプールなど、曲面を組み合わせたコースを使用し、ストリートは街中に存在する階段や縁石、斜面や手すりなどを模したコースを使用する。

 
いさ・かや 2001年5月23日、神奈川県生まれ。相模原市立旭中卒。小学5年で日本スケートボード協会の中部サーキットを小学生として初めて優勝。153センチ、53キロ。