全国高校総体(インターハイ)なぎなたの個人試合が8月6、7日に津市久居体育館で行われ、神山愛姫(愛媛・北条3年)が決勝で安次嶺心(沖縄・首里3年)を1-0で下して優勝。前回に続くインターハイ王座についた。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

インターハイなぎなた個人で優勝した神山愛姫

春の選抜は敗退、日々の生活から見直した

昨年はインターハイの個人試合を制し、10月に地元・愛媛で開催された国体では演技と試合の両部門で優勝するなど、大活躍の1年だった。しかし、今年3月の全国選抜では個人試合でまさかの4回戦敗退。4月の県選手権でも思うような結果を残せず、苦しい日々を送ってきたと神山は言う。「自分の気持ちのコントロールができていませんでした。行動の面でも最後まできちんと成し遂げられなかったことが多く、そういう部分が試合の打突にも出て、選抜大会では勝てなかったのだと思います」

「同じ過ちを繰り返したくない」。そんな思いから、日々の生活を見つめ直し、強いメンタルを養うことに努めた。「なぎなたは技を磨くことも大事ですが、一般のスポーツと比べて、心が影響する競技。『何気ない行動が試合での一本になったりする』と、いつも顧問の鈴木理香先生から細かく指導していただていました。だからたとえばご飯も去年まではしんどくて食べられないことがよくあったのを、そういうところからきちんとしようと、しっかり食べるとか、部のキャプテンを任されているので、自分のことばかりではなく、チーム全体のことを考えるように心掛けました」

インターハイなぎなた個人で優勝した神山愛姫(左、写真は準決勝)

「やっと肩の荷が下りた」と涙

迎えたインターハイ本番では、得意の面が冴え渡った。決勝トーナメントでは毎試合、面による一本を決め、1試合勝つたびに勢いに乗っていった。決勝の相手・安次嶺は全国選抜の覇者だったが、「相手のことは意識しなかった。とにかく落ち着いて、良い試合をしようと。一本を狙って、気持ちの良い打突ができる試合が理想でした」と冷静に、しかし、心には熱いものを秘めて正規の3分間と延長戦を戦い抜いた。試合を決めたのは、やはり鋭い面。苦しいときを乗り越えて、1年ぶりにつかんだ高校日本一だった。

「いろいろな思いをしてずっとやってきたので、やっと肩の荷が下りました」と涙ぐんだ神山。「たくさんの人の支えや応援が力になったので、感謝の気持ちしかありません。今回優勝できたことで、今後もたくさんの人から見られると思うので、常に冷静に、また新しい気持ちで、これからも1つ1つやっていけたらと思います」と、安堵の表情を浮かべつつ、次への戦いに気持ちを向けていた。