プレゼンテーションする内林さん(3月のSGH甲子園)

堀川高校(京都)の内林優花さん(3年)は、日本で性の多様性がどのように教えられているのかを調べた。中学3年の授業で性の多様性を学び、性的指向が原因でいじめられる子どもがいることに衝撃を受けたのがきっかけだ。

「いじめの背景にあるのは、知らないことや偏見」と考え、各国の教育事情や子どもの発達に関する英語論文を含めた文献を読み込んだ。LGBT(性的少数者)などが世界で最も住みやすいとされるオランダでは、小学校で性の多様性について教えるのが義務となっていると分かった。

全学年の教科書を検証

日本の状況を調べるため、京都市の小学校で使用されている国語、社会、理科、保健の全学年分の教科書を検証した。その結果、例えば国語では異性間の恋愛や結婚を前提とした物語文や説明文のみが採用されていた。そのため「異性愛が普通の姿だと無意識に刷り込まれてしまう恐れがある」と危ぶむ。

高学年になるとインターネットやテレビなどで間違った情報を得たり、性的指向が他人と異なっていることに劣等感を持ったりする場合もある。「低学年からさまざまな科目でLGBTについて書かれた教材を使い、LGBTの人へのインタビューを行いながら、性には多様な形があると学ぶ機会を設けることを提案したいです」
(木和田志乃)