山田健人君(東京・海城高校2年)は5月、米ニューヨークで行われた高校模擬国連の国際大会で最優秀大使の一人に選ばれた。日本の高校生が最優秀賞を受賞したのは、2014年以来2度目の快挙だ。 (山口佳子)

ウルグアイの大使として堂々と議論をした山田君(グローバル・クラスルーム日本委員会提供)

勤勉さと「和の心」発揮

親の仕事の都合で小学4年生から3年間、イタリアのローマに在住。模擬国連の活動に初めて参加したのも、ローマのインターナショナルスクール時代だ。「全く知らないいろいろな国の人と、会議を通して信頼関係を結べるのが新鮮で、とても楽しかった」

国際大会では、世界各地の高校生約1500人が16の議場に分かれ、事前に決められた議題について担当国の大使として交渉する。他国の大使とともに決議案をまとめ上げるのがゴールだ。さまざまな国の高校生と英語で議論しながら決議案をまとめるため、英語の力はもちろん、リサーチ力、交渉力も問われる。

「バイオ燃料」をテーマにした会議でウルグアイを担当した山田君は「円滑に会議を進めるために尽力した」として最優秀大使に選ばれた。「一人一人の意見を尊重しようとする和の心や、議題について丁寧に事前準備をしていく勤勉な日本人らしさが、世界でも評価されると分かってうれしい」

皿洗いしながら英語を勉強

英語の勉強は全て独学。国際大会出場が決まってからは、かつて国連の事務総長を務めたアナン氏やオバマ前米大統領のスピーチを繰り返し聞いた。「アナンさんは早く話すわけでもないし文法も完璧ではないのに、すごく言いたいことが伝わる。僕も、ゆっくり論点を押さえて話すことを心掛けようと思いました」

話す練習は、皿洗いや自転車通学の時などに「ながら勉強」で行った。「この場面ではこんな風に言おう、とシミュレーションしながらブツブツと独り言のように練習しました」

国際社会で活躍したい

議題の「バイオ燃料」とウルグアイについては、ほぼ半年間、図書館やインターネットなどで、いろいろな側面から資料を調べ尽くした。「どんな結果が出るか分からないまま、長い間1つのことを考え続けるのは大変だった」と振り返る。

学校では、中1の頃から吹奏楽部でフルートを吹き、今年4月からは模擬国連の活動を行うグローバル部の部長も務める。クラス委員長で組織する学年委員会として生徒遠足やスポーツ大会の運営などにも携わる。「学年委員会の活動は結構大変。でも、イベントが成功したり、みんなの喜ぶ顔を見たりすると、次もつい手をあげてしまう」と笑う。

将来は、国連に限らず、国際社会のためにできることをしたいと思っている。「そのためにも、ネーティブのような話し方を目指すのではなく、自分の考えをきちんと伝えられる英語力を身に付けたい」

日本からは6校11人が参加。結果は以下の通り

最優秀賞:東京・海城高校
優秀賞:東京・渋谷教育学園渋谷高校、東京・頌栄女子学院高校
他出場校:鳥取・鳥取西高校、神奈川・桐蔭学園中等教育学校、神奈川・浅野高校