「記事内容のクオリティー、レイアウトに妥協はしない」が部員同士の合言葉になっている

川越東高校新聞文芸部は、全国高校総合文化祭に毎年出場する強豪だ。年6回の定期新聞「ひんがし倶楽部」、学校行事や運動部の試合結果などを伝える速報版「AKIRA FIRE」の2種類を発行している。(文・写真 中田宗孝)

活字も紙面も「大手紙同様」

「自分たちは『リアルな新聞』を作っている。そんな高い意識を部員全員が持って紙面作りに取り組んでいます」。こう力強く活動方針を話すのは、部長の濱渡晏月(はまわたり あつき)君(3年)。同部の新聞に印字される活字は、大手新聞社が使用する書体と同じ。また、見出しや写真の配置も一般紙のレイアウトに倣っているのが、彼らの「新聞作り」に懸ける強い思いの表れだ。

定期新聞では、校内の話題を中心に、地元・埼玉県の魅力を発信する連載企画「郷土再発見」や、文芸部も兼ねる部の特色を生かした読み切りの短編小説といったバラエティーに富んだ記事を掲載している。

恋愛特集に反響

彼らが紙面作りで大切にするのは、主な読者となる生徒たちの知りたい、気になる情報を記事で伝えること。「2、3年生に向けた進路に関する情報、生徒会や在校生の活躍といった身近なニュースにこそニーズがあると考えます」(濱渡君)

4月に発行した紙面では、全校生徒に恋人の有無をアンケート調査した結果と考察をまとめた「東高生の彼女事情」を掲載し、反響を呼んだ。「新入生に向けた企画。真面目に学校紹介するよりも、東高の雰囲気が伝わるんです」(次期部長の原田航大君・2年)。

宿泊行事を開催中に速報

近年は、速報版の発行に力を注ぐ。これまでの年6回の発行から年平均20回へと大幅に増やした。特に、2年生の北海道への修学旅行、同時期に実施される1年生の新潟スキー実習の現地リポートを合わせた速報版を5日連続で発行、渾身(こんしん)の紙面となった。速報版の充実した紙面内容は学外でも評価され、昨年11月の「第62回埼玉県学校新聞コンクール」では、速報賞に輝いた。

写真手前が速報版「AKIRA FIRE」、奥が年6回発行する定期新聞「ひんがし倶楽部」
部活データ
1986年創部。部員18人(3年生2人、2年生7人、1年生9人)。活動日は週6日。第62回埼玉県学校新聞コンクールでは優秀賞も獲得。全国高校総合文化祭に12回出場。2018信州総文祭にも出場。