大学選びで何より大事なのは、自分が何を学びたいかを見極め、それができる大学・学部を探すことだが、同時に入試の傾向を知ったうえで、実力を伸ばすことも大切だ。2018年度入試結果の分析を駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長と、河合塾教育情報部の富沢弘和部長に聞いた。来年度入試を受ける高校3年生はもちろん、1・2年生も最新情報をおさえておこう。 (西健太郎)

好調な大卒就職が影響

学部系統別の志願者数をみると、国公立大、私立大とも大きな流れとしては文系が人気で理系が伸び悩む「文高理低」が続いている。河合塾の富沢さんは「景気が良く、大卒者の就職が好調であると文系の人気が高まります」と理由を説明する。一方で理系や資格取得が必要な学部は避けられがちだ。現在の高校の教育課程で理系の負担が重くなったことで、理系が避けられる傾向もあるという。

国公立大では、「社会・国際」「経済・経営・商」で志願者が増えた。「文・人文」系統は国公立全体ではやや減ったが国立大では前年並みという。教員養成課程は、志願者を減らした。資格系が不人気であるためだ。

 

情報系学科が人気

国公立大の理系では、「理」「工」の両系統がほぼ前年並みの志願者数だった。内訳をみると「情報」と名のつく学科は人気だったという。「農」系統は志願者を減らした。「医」「薬」も減った。河合塾のセンター試験自己採点集計(センター・リサーチ)によれば、医学科志望者はセンター試験得点率が8~9割の層の減少が目立った。医学科は、いわゆる旧帝大など難関大の志願者はあまり減らず、それ以外の大学の志願者の減少率が高かったという。

私立大をみると、「経済・経営・商」「社会・国際」「文・人文」とも前年より1割程度志願者を増やしており、文系人気が鮮明だ。内訳をみると「教育」や「国際」分野では志願者が前年並みだったという。

私立大全体の志願者が増える中、理系も「理」「工」が志願者を増やしているが文系に比べると低い伸びだ。「農」「医」は志願者を減らしたが、「看護」は新設学部があったこともあり、増やした。

好調な大卒就職率を背景に「文高理低」が続くことについて富沢さんは「今の高校3年生が大学4年生として就職するのは4年後。2020年以降の就職状況はどうなるか分からない」と話し、自分の将来を見極めて進路選択をすることを勧める。